昇格試験では、申告書や事前の提出書類、面接で、これまでの実績を問われることがよくあります。営業のように数字が出る仕事ならまだしも、事務や支援の仕事では、何を書けばよいのか迷う人が多いはずです。

当サイトが2026年10月に分類した昇格・昇任試験の体験記48件では、面接での受け答えでつまずいたという記述が8件ありました。件数は検索語の選び方に左右されます。それでも、実績をどう言葉にするかは、事前の準備で変えられる部分です。

この記事では、数字にしにくい仕事を、実績として示す方法を説明します。

※この記事に出てくる人物と例は、説明のために作った架空のものです。

評価する側が実績で確かめること

昇格試験で実績を聞くのは、すごい成果を探すためだけではないと考えられます(推測)。次の役職に就いたときに、同じような考え方や動き方ができそうかを確かめるためです。

そのため、成果の大きさと同じくらい、次の4点が読み取れるかが問われます。

  • 何を問題と見て、なぜ取り組んだのか
  • 自分は、何を考え、何をしたのか
  • 結果として、何が変わったのか
  • その経験から、何を学び、次にどう生かしているか

大きな成果がなくても、この4つが具体的に書ければ、実績として十分に伝わります。逆に、大きな成果でも、自分が何をしたかが見えなければ、評価しにくいものになります。

数字にできる仕事・できない仕事

実績を書く前に、自分の仕事を2つに分けてみます。

数字にしやすい仕事 数字にしにくい仕事
売上、件数、処理時間、ミスの件数 調整、相談対応、後輩の指導、仕組みづくり
期限を守れた割合、問い合わせの件数 関係部署との関係づくり、職場の雰囲気

数字にしにくい仕事も、まったく数字にできないわけではありません。件数、回数、時間、人数のどれかに置きかえられないかを考えます。

  • 調整 → 調整した部署の数、会議の回数、決まるまでの日数
  • 相談対応 → 相談を受けた件数、そのうち自分で解決できた件数
  • 後輩の指導 → 指導した人数、一人で担当できるようになった仕事の数

正確な記録がなければ、おおよその値でかまいません。「月に10件ほど」と書くだけで、仕事の大きさが伝わります。

比較で示す(前後・他と)

数字がどうしても出ないときは、比べることで示します。比べ方は2つあります。

  1. 前と後で比べる:自分が手を入れる前はどうで、後はどうなったか
  2. 他と比べる:同じ仕事をしているほかの係や、去年と比べてどうか

たとえば、「手順書を作った」だけでは、成果の大きさがわかりません。「手順書を作る前は、新しく来た人が独り立ちするまで3か月かかっていたが、作った後は2か月になった」と書けば、前後の比較になります。

比べるときは、自分に都合のよい比べ方だけを選ばないようにします。面接で深掘りされたときに、比べ方の根拠を聞かれることがあるからです。

周りへの影響で示す

数字で比べにくい仕事は、周りへの影響で示します。

  • 上司や他部署から、どんな仕事を任されるようになったか
  • 自分が作ったやり方を、ほかの係が使うようになったか
  • 後輩が、どんな仕事を一人でできるようになったか
  • お客様や住民から、どんな声が届いたか

周りの変化は、自分の仕事の影響を示す材料になります。「周りから評価された」と書くより、「隣の係でも同じ手順書を使うようになった」と、起きた事実で書くほうが伝わります。

チームの成果の中の自分の役割

チームで出した成果を書くときは、自分が何をしたかをはっきりさせます。「みんなで頑張った結果」では、評価する側はあなたを評価できません。

自分の役割は、次のどれに当たるかで整理します。

  • 始めた:問題に気づき、取り組みを言い出した
  • まとめた:意見を集め、進め方を決めた
  • 動かした:関係者に頼み、協力を取りつけた
  • 仕上げた:手順や資料を形にした

1つの取り組みで、全部に当たる必要はありません。どれか1つでも、自分の役割をはっきり書けば、チームの成果の中の自分が見えます。

一方で、手柄をすべて自分のものにする書き方は避けます。協力してくれた人の役割にも一言触れると、周りを動かせる人として読まれやすくなります。

書くときの順番

申告書でも面接でも、実績は次の順で書くと伝わりやすくなります。

  1. 状況:どんな問題があったか(数字か場面で)
  2. 役割:自分は何を任されていたか、何に取り組んだか
  3. 行動:何を考え、何をしたか
  4. 結果:何が変わったか(数字、比較、周りへの影響)
  5. 学び:そこから何を学び、今どう生かしているか

最初は1〜2行で全体を書き、字数に余裕があれば3の行動を詳しくします。次の役職での動き方がいちばん透けて見えるのは、行動の部分です。

架空の例:総務の仕事の実績

場面:機械メーカーの総務課で、主任として備品の管理を担当しているCさんは、係長の昇格の申告書に実績を書きます。最初に書いたのは、次の1文でした。

備品管理業務の効率化に取り組み、成果を上げた。

何をして、何が変わったのかがわかりません。Cさんは、5つの順に材料を書き出しました。

  • 状況:備品の貸し出しの記録が紙で、月に15件ほど行方のわからない備品が出ていた
  • 役割:主任として、備品の管理の担当を任されていた
  • 行動:貸し出しの記録を共有の表に移し、返す日を書く欄を作った。各課の庶務の担当に使い方を説明した
  • 結果:行方のわからない備品が、半年後に月3件ほどに減った。ほかの事業所からも表の様式を求められた
  • 学び:仕組みを作るときは、使う人に先に説明する時間を取ると定着しやすい

この材料をもとに書き直した1文は、たとえば次のようになります。

備品の貸し出しの記録を共有の表に移し、行方のわからない備品を半年で月15件ほどから3件ほどに減らした。

書かないほうがよいこと

実績の欄で、避けたい書き方もあります。

  • 担当している仕事の説明だけで終わる(「〇〇業務を担当」は、実績ではなく役割)
  • 会社や部署の成果を、自分の成果のように書く
  • 確かめられない数字を盛る(面接で根拠を聞かれて崩れやすい)
  • 取引先や同僚の名前など、伏せるべき情報を書く

実績が小さく見えても、事実を正確に書くほうが、面接での深掘りに耐えられます。

面接での深掘りへの備え

申告書に書いた実績は、面接で深掘りされることがあります。次の質問に答えられるかを確かめておきます。

  • 「なぜ、それに取り組もうと思ったのですか」
  • 「いちばん苦労したのは、どこですか」
  • 「うまくいかなかったことは、ありますか」
  • 「次の役職で、その経験をどう生かしますか」

答えを丸暗記する必要はありません。5つの順の材料を手元に置き、どの質問にも、材料のどこかを使って答えられれば十分です。

実績を自己PRの欄にまとめる書き方は、昇格試験の自己PRで説明しています。失敗の経験を聞かれたときの話し方は、昇格面接の「失敗経験」の質問にまとめました。

一人で練習するときの限界

実績の材料は一人でも整理できます。ただ、深掘りの質問は、自分で作ると答えやすいものに寄りがちです。書いた材料が、思いがけない角度から聞かれても崩れないかは、問われてみて初めて分かります。

昇格パスの無料体験では、登録の後に、昇格面接の3問(実績・抱負・マネジメント)を文字で1回ずつ練習できます。答えると「具体的には」などの深掘りの質問が続き、終わると評価票で、観点ごとの評価と根拠になった発言を確かめられます。

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