小売や販売の仕事では、毎日の売り場の数字が手元にあります。昇格試験では、この数字を、自分の判断と行動の結果として語れるかどうかで差がつきやすいと考えられます(推測)。
もう一つの特徴は、パートやアルバイトの人と一緒に働くことです。店舗の主任や副店長、店長になれば、時間や働き方の違う人たちをまとめる役目が増えます。
この記事では、店舗の数字と人の育成を、昇格試験の材料にする方法を説明します。特定の会社の試験の中身は扱いません。
※この記事に出てくる会社、人物、例は、説明のために作った架空のものです。
小売の昇格試験でよくある形式
試験の形は会社ごとに決められていて、何を組み合わせるかも、どこに重みを置くかもさまざまです。小売や販売の職場で考えられるのは、たとえば次のような要素です(推測)。
- 実績や店舗の目標をまとめた書類
- 店長や地区の責任者、本部の人事との面接
- 論文や小論文(店舗の課題、人の育成、お客様へのサービスなど)
- 届いた案件を時間内に処理する演習
どの形式でも、売り場の担当者としてではなく、店舗全体の結果に責任を持つ立場で考えられるかが見られやすいと考えられます(推測)。自分の会社の形式は、人事の案内や、受けた先輩の話で確かめます。
店舗の数字の示し方
店舗の数字は、ただ並べるだけでは、自分の実績になりません。どの数字を、自分のどの行動で動かしたのかを示します。
売上は、次の式に分けて考えると、自分の行動との関係が見えやすくなります。
売上 = 客数 × 客単価
客単価は、さらに「買い上げ点数 × 1点あたりの単価」に分けられます。自分の行動が、どの要素を動かしたのかを語ります。
| 動かした要素 | 行動の例 |
|---|---|
| 客数 | 売り場の入口の見せ方を変えた、地域の行事に合わせた品ぞろえにした |
| 買い上げ点数 | 一緒に買われやすい商品を近くに並べた、声かけの仕方を決めた |
| 単価 | 品質の高い商品の説明の仕方をそろえた |
| 費用 | 廃棄を減らした、発注の量を見直した |
売上の数字は、天気や近くの店の動きにも左右されます。自分の行動の効果として語るときは、前年や、ほかの店舗との比較を添えると、説得力が増します。
数字が手元にない場合は、おおよその値でかまいません。社外秘の数字をそのまま書く必要はなく、割合や前年との比較で十分です。
パート・アルバイトの育成
店舗の管理職にとって、パートやアルバイトの人の育成と定着は、日々の大きな仕事です。昇格試験でも、聞かれる前提で準備しておきます。
材料にしやすいのは、次のような経験です。
- 新しく入った人が、一人でレジや売り場を担当できるまでの期間と、それを縮めた工夫
- 働く時間の違う人どうしで、連絡や引き継ぎをどうそろえたか
- 長く働いている人に、新人の指導を任せた経験
- 辞める人が続いたときに、何を変えたか
育成の材料では、相手の立場への配慮も見られやすいと考えられます。パートやアルバイトの人には、それぞれの生活や事情があります。一律に「もっと働いてほしい」と求めるのではなく、限られた時間の中で力を出せる形を考えた経験が語れると、管理職の視点が伝わります。
よくある話し方:「新人には、私がつきっきりで教えるようにしています」
評価する側からの見え方(推測):面倒見のよさは伝わります。ただ、自分がいない時間帯や、新人が何人も入った時期にはどうするのか、という疑問が残ります。
直し方:教える中身を、最初の1週間で覚えることと、慣れてから覚えることに分け、長く働いている人に一部を任せた経験として話します。任せた人が教えやすくなるよう、何を用意したかも一言添えます。
顧客対応の材料
お客様への対応は、小売の昇格試験で使いやすい材料です。とくに、苦情への対応は、面接でも論文でも、演習の案件でもよく出る題材だと考えられます。
苦情の対応を材料にするときは、次の3つの段階に分けて語ります。
- その場の対応:お客様にどう謝り、どう対応したか
- 原因の確認:なぜ起きたのかを、誰と確かめたか
- 再発の防止:次に起きにくくするため、売り場の決まりや手順をどう変えたか
1だけで終わると、担当者としての対応に見えます。2と3まで語れると、店舗を預かる立場の考え方が伝わります。
面接での話し方
店舗の仕事の話は、具体的な場面が浮かびやすい分、話が長くなりがちです。次の順で、1分前後で区切ります。
- 結論(何をして、何が変わったか)
- 数字を1つ
- 自分の役割(誰に何を頼み、何を決めたか)
深掘りでよく聞かれそうなのは、次のような質問です。
- 「人が足りない日に、売り場をどう回しますか」
- 「店長の方針と、パートの人の意見がぶつかったら、どうしますか」
- 「売上の目標が届きそうにないとき、何をしますか」
答えは丸暗記せず、自分の経験の材料から話します。「自分が売り場に立って補う」だけで終わる答えは、担当者の視点に聞こえやすいので、誰に何を任せるかを一言添えます。
論文での注意
小売の論文では、「お客様満足の向上」「売り場の活性化」のような言葉が出やすくなります。こうした言葉だけでは、どの職場にも当てはまる一般論になりやすいと考えられます。
言葉を使うときは、自分の店舗の事実に置きかえます。
- 「お客様満足」→ どの時間帯に、どんな声が、何件あったか
- 「売り場の活性化」→ どの売り場の、どの数字を、どう動かすか
- 「人材の育成」→ 誰が、何を、いつまでにできるようにするか
置きかえた後は、文の主語も確かめます。「店舗として」「全員で」が続くときは、主任や副店長としての自分が、誰に何を頼むのかが抜けていることが多いものです。抽象的な言葉を見つけて直す手順は、論文で「一般論」と言われたときにあります。
案件を処理する演習が出るとき
小売の昇格試験で、いわゆるインバスケット形式の演習が出ることもあります。設定や案件の中身は会社や教材によってさまざまですが、店舗の日々の仕事の感覚は、どの設定でも役に立ちます。
ただし、売り場の担当者の感覚のまま答えると、ずれやすい点が2つあります。
- 自分で動く答えばかりにしない:演習では、自分がその場にいない設定のことも多く、誰に何を任せるかが見られやすいと考えられます
- 売上より先に扱う案件を見分ける:人の安全や、お客様の信用、法令に関わるものは、売上の話より先に手を付けるのが一般的な考え方です
案件の読み方と時間の使い方は、案件処理演習の進め方で順を追って説明しています。
架空の例:実績の言いかえ
場面:家電の量販店で売り場の主任をしているFさん(33歳)は、副店長の昇格面接を控えています。最初に用意した実績は、次のようなものでした。
売り場のスタッフと協力し、売上の向上に貢献しました。
自分が何をしたか、何が変わったかが見えません。Fさんは、材料を書き足しました。
- 動かした要素:買い上げ点数
- 行動:調理家電を買う人に、関係する消耗品を案内する声かけを決め、パートの人5人と練習した
- 結果:調理家電の売り場で、1人あたりの買い上げ点数が、前年の同じ時期より1割ほど増えた
- 自分の役割:声かけの言葉を、パートの人の意見を聞いて一緒に決めた
最初の一文は、次のように変えました。
調理家電の売り場で、関係する消耗品の声かけをパートの人と一緒に決め、1人あたりの買い上げ点数を前年より1割ほど増やしました。
言いかえた一文は、面接の入り口にすぎません。「パートの人が声かけをしなかったら、どうしましたか」のような深掘りに続く材料も、手元にメモしておきます。主任の面接で出やすい問いと答えの形は、主任の昇格面接で聞かれる質問例で問いごとに見られます。
一人で練習するときの限界
売り場の数字を式に分け、実績の一文を作り直すところまでは、休憩の時間にも進められます。けれども、その一文に「ほかの売り場でも同じことができますか」と重ねて聞かれたとき、店舗全体の話に広げて答えられるかは、実際に問われてみないと分かりません。
昇格パスの無料体験では、登録の後に、昇格面接の3問(実績・抱負・マネジメント)を文字で1回ずつ練習できます。答えると「具体的には」などの深掘りの質問が続き、終わると評価票で、観点ごとの評価と根拠になった発言を確かめられます。
個人で申し込んで使え、実名や勤務先の登録は要りません。会社に知らせることもありません(ログインにはメールアドレスか LINE を使います)。
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