昇格試験で、実績や抱負、職場の課題について発表する「プレゼン審査」がある会社があります。当サイトで読んだ体験記ではプレゼンに触れたものが5件、知恵袋の質問ではプレゼンが出てくるものが7件ありました(2026年10月)。件数は検索語の選び方に左右されるので、傾向の一つとして見てください。
プレゼンは、社内の会議で慣れている人も多い形式です。けれども、昇格試験のプレゼンは、聞き手も目的も普段とは違います。
この記事では、評価されることと、5分・10分の構成の型、資料の作り方、練習と質疑への備えを説明します。
※この記事に出てくる人物と数字は、説明のために作った架空のものです。
プレゼン審査で評価されること
昇格試験のプレゼンの聞き手は、役員や人事、ほかの部門の長であることが多いはずです。普段の仕事の中身は、詳しく知らない人たちです。
そうした聞き手が、短い発表の中で拾おうとするのは、次の5点だと見ています(推測)。
- 組織の目線で課題を捉えているか:自分の担当の話で終わらず、部門や会社の課題につながっているか
- 筋道が通っているか:課題、原因、取組、効果がつながっているか
- 具体的か:数字、期限、誰が何をするかがあるか
- 短く伝えられるか:決められた時間で、要点を伝えられるか
- 質疑に落ち着いて答えられるか:想定外の問いにも、考えを言えるか
資料の見た目の美しさは、それほど重く見られないことが多いと考えられます。中身と伝え方が中心です。
5分・10分の構成の型
テーマが「昇格後に取り組みたいこと」「職場の課題と解決策」の場合の、構成の型を示します。
5分の型
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0:00〜0:30 | 結論:何に取り組むか(一文) |
| 0:30〜1:30 | 現状と課題:事実と数字 |
| 1:30〜3:30 | 取組:2つまで。誰が、何を、いつまでに |
| 3:30〜4:30 | 効果と確かめ方:何がどう変わるか、何で確かめるか |
| 4:30〜5:00 | まとめ:結論をもう一度 |
10分の型
10分なら、5分の型に次の2つを足します。
- 原因の掘り下げ(1〜2分):なぜその課題が起きているか
- 実行の障害と対策(1〜2分):反対、予算、人手など、うまくいかない場合の手
取組の数を3つ、4つと増やすより、2つの取組を深く話すほうが伝わりやすくなります。
よくある構成と、直し方
| よくある構成 | 聞き手からの見え方 | 直し方 |
|---|---|---|
| 会社や業界の説明から始める | 聞き手がすでに知っている話が続き、本題が遅い | 最初の30秒で、何に取り組むかを一文で言う |
| 取組を5つ並べる | どれも浅く、誰が何をするかが見えない | 2つに絞り、担当と期限を付ける |
| 効果を「意識が高まる」で終える | 確かめようがなく、言葉だけに見える | 何の数字がどう変わるかを1つ挙げる |
| 自分一人で全部やる計画 | 管理職として人を動かす姿が見えない | 誰に任せ、どう報告を受けるかを入れる |
自分の構成案を、この4行に当てはめて点検すると、直す場所が早く見つかります。
資料の枚数と1枚の情報量
資料の枚数は、1分に1枚を上限の目安にします。5分なら表紙を除いて4〜5枚、10分なら8枚前後です。
1枚の作り方の要点です。
- 1枚に言いたいことは1つ:スライドの上に、その1枚の結論を一文で書く
- 文字は少なく:話すことを全部書かない。要点の単語と数字だけ
- 図は1枚に1つ:グラフや表を詰め込まない
会社によっては、資料の枚数や形式が指定されていたり、資料なしで話す形だったりします。指定を最優先にします。
数字の見せ方
数字は、プレゼンの説得力を大きく左右します。見せ方の要点は次のとおりです。
- 比べる相手を付ける:「月12件」だけでなく、「前の年は月5件」「目標は月3件」と並べる
- 桁を丸める:「1,236件」より「約1,200件」のほうが、聞いてすぐ分かる
- 単位をそろえる:件数、時間、割合を混ぜない
- 出どころを言える:質疑で「その数字はどこから」と聞かれても答えられるようにする
社外秘の数字を使ってよいかは、会社の決まりに従います。迷うときは、割合や前の年との比較で示す方法もあります。件数や金額にならない仕事をどう見せるかは、昇格試験の実績の書き方を参考にしてください。
資料の点検表
資料ができたら、発表の練習の前に次の項目を確かめます。
- 表紙の次の1枚に、結論が一文で書いてあるか
- 各スライドの上の一文だけを続けて読むと、話の筋が通るか
- 数字には、比べる相手(前の年、目標、他の部署)が付いているか
- 取組のスライドに、誰が、何を、いつまでに、が入っているか
- 社名、人名、社外秘の数字が残っていないか
- 指定の枚数、形式、ファイルの種類に合っているか
上の一文を続けて読む確かめ方は、とくに効きます。筋が通らないなら、話す練習をしても、聞き手には伝わりにくいままです。
架空の例:結論を先に出す
建材の卸売会社の係長のYさんは、「昇格後に取り組みたいこと」を5分で発表します。最初の案は、会社の歴史と業界の動きの説明から始まり、取り組みたいことが出てくるのは3分を過ぎてからでした。
評価する側から見ると、前半の説明は、聞き手がすでに知っている話です。Yさんは、最初の30秒を次のように変えました。
私が課長として取り組みたいのは、見積もりの回答の日数を、今の平均5日から2日に縮めることです。
最初に結論と数字を出したことで、その後の現状、取組、効果の話が、すべてこの結論に向かう形になりました。
話す練習の仕方
- 原稿を書いて、一度読み上げる:時間を計り、長い部分を削る
- 原稿を、要点のメモに変える:丸暗記はしない。緊張すると、途中から抜けやすくなる
- メモだけで3回話す:毎回言い回しが変わってもよい。要点と順番が守れていればよい
- 録音して聞く:結論が最初にあるか、早口になっていないかを確かめる
- 時間の余白を残す:5分なら4分30秒で終わるくらいに収める
声に出して何度か話しておくと、本番で緊張しても要点の順番が残りやすくなります。人前で頭が真っ白になりやすい人は、面接で頭が真っ白になる人の準備の材料の決め方も併せて使えます。
質疑応答への備え
プレゼンの後の質疑は、面接に近い場面です。次のような問いを想定しておきます。
- その数字は、どうやって確かめたのですか
- 計画どおりに進まなかったときの手は、考えてありますか
- 部下が反対したら、どうしますか
- 予算や人手が足りない場合は、どうしますか
- その取組で、ほかの部署に影響はありませんか
答え方は、結論、理由、具体例の順です。分からないことを聞かれたら、取り繕わずに「今は分かりません。〜で確かめます」と言い、自分の考え方を添えます。
架空の例で、「予算や人手が足りない場合は」への答えを比べます。
- 「そのときは頑張って何とかします」:気持ちは伝わるが、何をするかが見えない
- 「まず2つの取組のうち、見積もりの手順の見直しを先に進めます。人手が要る方は、来期の計画に回します」:優先順位と理由が見える
質疑は、発表の中身を確かめる場です。発表で言った数字や取組と、質疑の答えが食い違わないように、発表の原稿と想定問答を並べて読んでおきます。質疑で掘り下げられやすい質問の系統は、昇格面接でよく聞かれることで整理しています。
当日に気をつけること
- 機材を先に確かめる:資料を映す形なら、ファイルの形式、映し方、手元の操作を、可能なら事前に確かめます。映せなかったときのために、紙の資料を用意しておくと安心です。
- 最初の一文をはっきり言う:緊張していても、結論の一文だけは、ゆっくり、はっきり言います。
- 時間を見られるようにする:時計の位置を確かめておき、半分の時間でどこまで話すかを決めておきます。
- 時間が足りなくなったら、まとめに飛ぶ:途中の説明を削っても、結論と取組だけは言い切ります。
話す速さは、普段の会議より少しゆっくりにします。聞き手は初めて聞く内容なので、速く話すと、要点が伝わる前に次へ進んでしまいます。
一人で練習するときの限界
構成づくりや、時間を計った発表の練習は、録音を使えば一人でも進められます。けれども、質疑で何を掘り下げられるかは、自分では予想しきれません。予想外の問いに、結論から短く答える感覚は、問われる側に立って初めてつかめる部分です。
昇格パスの無料体験では、登録の後に、昇格面接の3問(実績・抱負・マネジメント)を文字で1回ずつ練習できます。答えると「具体的には」などの深掘りの質問が続き、終わると評価票で、観点ごとの評価と根拠になった発言を確かめられます。プレゼンの演習ではありませんが、答えを掘り下げられる点は質疑と共通です。
個人で申し込んで使え、実名や勤務先の登録は要りません。会社に知らせることもありません(ログインにはメールアドレスか LINE を使います)。質疑の備えの一つとして試してみてください。
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