管理職アセスメントでは、資料を読んで問題を分析し、評価者の前で発表する「分析発表演習」が行われることがあります。案件処理演習や面談演習に比べて、情報が少なく、どう準備すればよいか迷う人が多い形式です。
この記事では、分析発表演習の一般的な形式と、資料の読み方、発表の組み立て、時間の配分を説明します。特定の会社や研修の問題は扱いません。
※この記事に出てくる資料と人物は、説明のために作った架空のものです。
分析発表演習とは
分析発表演習は、架空の会社や部門の資料を一人で読み込み、問題と原因を整理し、対策をまとめて発表する演習です。一般的には、次のような流れになると考えられます(推測)。
- 資料を受け取る(会社の概要、数字の表、関係者の発言、トラブルの報告など)
- 決められた時間で、分析と発表の準備をする
- 評価者の前で、数分から十数分ほど発表する
- 評価者からの質問に答える
評価する側が見るのは、資料から問題の本質をつかむ力、原因と対策を筋道立てて示す力、相手に伝える力、質問に落ち着いて答える力だと考えられます(推測)。
時間、発表の長さ、資料の量は、演習によって違います。当日の指示を最優先します。
資料の読み方
資料は、最初から丁寧に読み込むより、2回に分けて読むほうが、時間内に全体をつかみやすくなります。
1回目(全体をつかむ):
- 資料の種類と量を確かめる
- 求められていること(設問)を確かめる。何を発表するのかを先に知る
- 会社や部門の全体像(何で稼いでいるか、どこが困っているか)をつかむ
2回目(材料を拾う):
- 数字に印を付ける:売上、利益、前年との比較、部門ごとの差
- 関係者の発言に印を付ける:不満、要望、食い違い
- さりげない強みに印を付ける:評判のよい商品、腕のよい職人、長い取引先
資料どうしで数字が食い違っていたり、誰が作った見積もりかがはっきりしなかったりすることがあります。こうした点に気づいて発表の中で触れると、資料をうのみにしていないことが伝わります。
問題の整理(原因と対策)
材料を拾ったら、次の順で整理します。
- 問題を言う:あるべき姿と今の差を、数字で(「利益率が業界の目安より低い」など)
- 原因を分ける:表に出ている原因と、その奥にある原因を分ける
- 原因に対策を対応させる:原因1つに対策を1つ。対策が原因とずれていないか確かめる
- 対策を絞る:2〜3つに。優先する理由を言えるようにする
- 対策に主体・期限・規模を付ける:誰が、いつまでに、どれくらい
分析の枠組み(顧客・競合・自社、強み・弱み・機会・脅威など)は、頭を整理するのに使います。発表では、枠組みを並べるより、「だから何をするか」を中心に話します。
売上と利益を分けて見る
数字の資料が多いときは、売上や利益をいくつかの要素に分けると、原因の当たりが付けやすくなります。
- 店や施設の商売なら、売上=客数×客単価×来店の回数
- 会社相手の商売なら、売上=取引先の数×1社あたりの取引額
- 人が動いて稼ぐ商売なら、売上=働く人の数×稼働の割合×単価
- 利益=売上-売上に応じて増える費用-決まってかかる費用
どの要素が動いたかが分かれば、対策もその要素に向けて考えられます。売上が下がったという同じ現象でも、客数が減ったのか、単価が下がったのかで、打つ手は大きく変わります。
発表資料の作り方
発表資料(模造紙、ホワイトボード、用紙など)を作る場合は、次の構成が基本になります。
| 順番 | 内容 | 目安の量 |
|---|---|---|
| 1 | 結論(何をすべきか) | 1〜2行 |
| 2 | 問題(数字で) | 2〜3行 |
| 3 | 原因 | 2〜3項目 |
| 4 | 対策(主体・期限つき) | 2〜3項目 |
| 5 | 効果と、残る課題 | 1〜2行 |
資料の文字は、短く大きく書きます。発表で話すことを全部書く必要はありません。見出しと数字だけを書き、説明は口で補います。
発表と質疑
発表:
- 最初に結論を言う:「結論として、〇〇に集中すべきだと考えます」
- 数字を引用する:「資料3によると、△△部門は前年より利益が2割減っています」
- 時間を守る:決められた時間を超えない。早く終わりすぎもしない
質疑:
- 質問を最後まで聞いてから答える
- 痛い指摘は、まず受け止める:「ご指摘のとおり、その点の検討は足りませんでした」
- 分からないことは、どう調べるかを答える
- 自分の結論を、根拠なく変えない。ただし、新しい事実を示されたら、柔軟に見直す
質疑では、発表の内容だけでなく、指摘を受けたときの態度も見られていると考えられます(推測)。
質疑でよく来る問いの型
質問の中身は演習ごとに違いますが、型はある程度決まっています。準備の時間の最後に、次の3つへの答えを一言ずつ用意しておくと、落ち着いて答えやすくなります。
- 「なぜその原因だと言えるのか」:根拠にした資料の数字や記述を、ページや表の名前で言えるようにする
- 「ほかの対策は考えなかったのか」:選ばなかった対策と、選ばなかった理由を1つ言えるようにする
- 「その対策の費用や人手は足りるのか」:資料の中で使えそうな人や予算を指し、足りない分をどう手当てするかを言えるようにする
時間の配分
準備の時間が60分の場合の目安です。時間の長さに合わせて割合で考えてください。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0〜10分 | 1回目の読み。設問と全体像をつかむ |
| 10〜25分 | 2回目の読み。数字・発言・強みに印 |
| 25〜45分 | 問題・原因・対策を整理する |
| 45〜55分 | 発表資料を作る |
| 55〜60分 | 発表の流れを頭の中で一度通す |
一番多い失敗は、読むことと分析に時間を使いすぎて、発表資料が間に合わないことです。分析が途中でも、決めた時刻で資料作りに移ります。
一人でできる練習
分析発表演習は、一人でも次のように練習できます。
- 新聞や業界の記事から、数字の載った話題を1つ選ぶ
- 時間を決めて読み、問題・原因・対策を1枚にまとめる
- 決めた時間で、声に出して発表する。録音して聞き直す
- 「本当にその原因か」「ほかの対策は」と、自分に質問して答える
録音を聞き直すと、結論が後回しになっていないか、数字を引用しているかが分かります。
架空の例:地方の旅館の資料
地方の旅館の資料で、「客数は増えているのに、利益が減っている」という設定があったとします。
ある受験者は、最初、客数をさらに増やす対策を考えました。2回目の読みで数字を拾い直すと、増えているのは単価の低い平日のプランの客で、繁忙期の部屋の稼働はむしろ下がっていることが分かりました。
問題は「客数」ではなく「単価と稼働の組み合わせ」でした。対策は、平日の値引きを見直し、繁忙期の予約の受け方を変える、という方向に変わりました。資料を2回に分けて読むことで、表に出ている数字の奥にある原因に近づけた例です。
よくある失敗
- 資料の要約で終わり、「だから何をするか」がない
- 対策が多すぎて、どれを優先するかが見えない
- 資料の数字を引用せず、思い込みで話す
- 質疑で、指摘に反論してしまう
どれも、発表の前に「結論・根拠・対策の優先順位」を1行ずつ書き出しておくと防ぎやすくなります。
一人で確かめるときの限界
録音で話し方は確かめられますが、分析の筋が通っているか、質問にどう答えるかは、聞き手がいないと確かめにくいものです。同僚に5分だけ聞いてもらい、質問を1つ出してもらうだけでも、一人の練習とは違う気づきがあります。昇格パスには分析発表の演習はありませんが、限られた時間で資料を読み、判断して書くという点は、案件処理演習と共通しています。
昇格パスの無料体験では、登録の後に、案件処理演習の1案件を5分で1回練習できます。書き終えると評価票が出て、観点ごとの評価と、根拠になった自分の記述を確かめられます。
個人で申し込んで使え、実名や勤務先の登録は要りません。会社に知らせることもありません(ログインにはメールアドレスか LINE を使います)。資料から判断を書く練習の一つとして試してみてください。
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