昇格の前に「アセスメント研修を受けてください」と言われ、何をするのか分からず不安になる人は多いはずです。研修という名前でも、内容は昇格の判断に使われることがあります。

管理職への昇格で、試験やアセスメントを行う企業は66.3%でした(労務行政研究所、2022年、197社)。当サイトで読んだ体験記では、外部の会社が行うアセスメントと明記したものが6件あり、1〜2日かけていくつかの演習を組み合わせる例が見られました(2026年10月)。

この記事は、アセスメント研修を受ける側の人に向けて、目的、演習、評価の観点、当日の流れ、準備、結果の受け取り方をまとめます。研修を探している人事の方向けの比較ではありません。

※この記事に出てくる人物と場面は、説明のために作った架空のものです。内容は一般的な説明で、会社や提供元によって異なります。

アセスメント研修の目的

アセスメントは「評価する」という意味です。アセスメント研修は、受講者に、管理職の仕事に近い場面を演習として体験してもらい、そのときの行動を観察して評価するものです。

会社が使う目的は、主に次の2つです。

  • 昇格の判断の材料にする:上の役職を任せられるかを、普段の仕事とは別の場面で確かめる
  • 本人の育成に使う:強みと弱みを本人に返し、これからの成長に役立ててもらう

どちらの目的で使われるかは、会社によって違います。「研修」という名前でも、昇格の判断に使われることがあるので、案内をよく読み、分からなければ人事に確かめます。

よくある演習

アセスメント研修では、次のような演習を組み合わせることが多いと説明されます。

演習 内容 見られやすいこと
案件処理演習 メールやメモの束を、時間内に処理する 判断、任せ方、優先順位、関連する案件への気づき
面談演習 部下役の人と、問題を抱えた部下との面談をする 聞き方、相手への配慮、次の一歩の合意
グループ討議 数人で課題を話し合い、結論を出す 論点の整理、人を巻き込む力、結論を出す力
分析発表 資料を読んで分析し、上司役に発表する 問題を捉える力、筋道、伝える力

演習のほかに、事前の課題や、自己評価の記入、振り返りの時間があることもあります。

演習ごとの入口になる記事も用意しています。案件処理演習の仕組みは案件処理演習とは、面談演習で見られる点は面談演習の評価の観点を一覧にする、資料を読んで発表する演習は分析発表演習の進め方が出発点になります。

評価の観点

アセスメントの評価の観点は、提供元ごとに名前が違いますが、中身はおおむね次の系統に収まると説明されます。

  • 状況を広く見て、問題の本質をつかむ
  • 期限の中で決める
  • 人を動かす(任せる、巻き込む、調整する)
  • 人を育てる(指導、動機づけ)
  • 相手の立場をくむ
  • リスクや法令を外さない

アセスメントの特徴は、「頭の中で考えたこと」ではなく、「書いたこと・言ったこと・したこと」で評価される点です。考えていても、行動として表に出さなければ、評価の材料になりません。

当日の流れ

1日で行う場合の、一般的な流れの例です(例であり、会社によって違います)。

時間帯 内容
朝 説明、自己紹介、事前課題の確認
午前 案件処理演習(60〜90分ほど)
昼前後 面談演習、または分析発表
午後 グループ討議
夕方 振り返り、自己評価の記入

演習の合間に、ほかの演習の準備の時間が置かれることもあります。1日の中で切り替えが多いので、体力も使います。前の日はよく眠っておくことを勧めます。

事前の準備

アセスメントは「素の行動」を見るものだから準備は要らない、と言われることもあります。ただ、形式を知らずに臨むと、演習の進め方に戸惑って、本来の力を出しにくくなります。準備の目的は、形式に慣れて、戸惑う時間を減らすことです。

  1. 案内を読む:日程、演習の種類、事前課題、持ち物、PCか紙か
  2. 演習ごとの進め方を知る:案件処理なら全件に目を通してから書く、面談なら最初は聞く、討議なら判断の基準を先に話し合う
  3. 一度、時間を計って体験する:特に案件処理演習は、時間の感覚をつかんでおく
  4. 自分の強みと弱みを書き出す:評価の観点のうち、どこが弱そうかを先に知っておく

型を覚えすぎて、演習の場でなぞるだけになるのは避けます。型は、抜けを防ぐための点検表として使います。演習ごとの準備と当日の動き方をもう一段詳しく知りたい人は、管理職アセスメントの対策に進んでください。

準備の期間の目安

案内が来てから当日までの期間によって、できることは変わります。目安を示します。

当日までの期間 優先すること
1か月ほど 演習の種類ごとに進め方を知り、案件処理演習を時間を計って2回ほど解く。弱い観点を書き出す
2週間ほど 案件処理演習を1回解き、面談の最初の聞き方を声に出して練習する
数日 案内を読み直し、演習ごとの最初の5分にやることをメモにまとめる

期間が短いときほど、新しいことを詰め込むより、各演習の始め方を決めておくほうが当日の助けになります。

当日に気をつけること

当日の過ごし方でも、評価は変わりえます。次の点に気をつけます。

  • 最初の演習から力を出す:最初の演習で出遅れると、気持ちの立て直しに時間がかかります。最初から、準備した進め方で臨みます。
  • 役になりきる:演習で設定された役職(課長、所長など)として考え、書き、話します。「私なら〜と思います」という評論の言い方は避け、「〜する」「〜を指示する」と、自分が動く言い方にします。
  • 評価する人の介入を受け止める:演習の途中で、評価する人や進行役から厳しい問いが入ることがあります。反発したり萎縮したりせず、考えを深めるきっかけとして受け止めます。
  • 演習ごとに気持ちを切り替える:前の演習の出来を引きずらず、次の演習の進め方を確かめてから入ります。
  • 振り返りの用紙を軽く見ない:最後の自己評価や振り返りも、見られていることがあります。何ができて、何ができなかったかを、具体的に書きます。

ほかの受講者は、競う相手というより、同じ場面を体験する仲間です。グループ討議では、ほかの人の案を受けて、よりよい結論にしようとする姿勢が評価されやすいと考えられます。

結果の受け取り方

アセスメントの結果は、本人に返される場合と、返されない場合があります。返される場合は、観点ごとの評価と、根拠になった行動のコメントが付いていることが多いものです。

結果を受け取ったら、次のように読みます。

  • 低かった観点を1〜2つに絞る:全部を一度に直そうとしない
  • 根拠の行動を確かめる:「どの場面の、どの発言・記述が理由か」を見る
  • 次の行動に言いかえる:「指示に期限がない」なら「すべての指示に日時を入れる」

結果が返されない場合は、自分で振り返りを書いておきます。どの演習で時間が足りなかったか、どこで迷ったかを、終わった日のうちに書き出します。

架空の例:結果を次につなげる

物流会社の配車係で係長を務めるUさんは、アセスメントの結果で、「人を動かす」の評価が低く、「自分で処理する答えが多い」というコメントを受けました。Uさんは、次の練習から、案件ごとに「誰に任せるか」を最初に決めてから書くようにしました。弱い観点を、1つの行動に言いかえた例です。

受ける前によく出る疑問

普段の仕事ぶりと関係はあるのか:演習は普段の仕事とは別の場面ですが、普段の判断や人への接し方の癖は、演習の中でも出やすいものです。日ごろの仕事で「誰に任せるか」「いつ確かめるか」を意識しておくことも、準備の一つになります。

準備をすると、かえって不自然にならないか:準備の目的は、形式に戸惑う時間を減らすことです。言い回しを覚え込むのではなく、進め方の順番を知っておく程度なら、不自然にはなりにくいと考えられます(推測)。

ほかの受講者と比べられるのか:比べ方は会社や提供元によって違います。少なくとも演習の中では、ほかの人を言い負かすことより、自分の考えを筋道立てて示し、人の案を生かすことに力を使うほうが、評価の観点に合います。

一人で確かめるときの限界

案件処理演習の書き方は一人でも練習できますが、面談や討議のように相手がいる演習は、相手の反応を受けて自分がどう動くかを確かめにくいものです。書いた答えや話した言葉が、評価する側にどう読まれるかも、自分だけでは分かりにくい点です。

昇格パスの無料体験では、登録の後に、部下面談1場面、昇格面接3問、案件処理演習1案件を、文字でそれぞれ1回練習できます(論文は対象外です)。終わると評価票で、観点ごとの評価と、根拠になった自分の発言や記述を確かめられます。グループ討議と分析発表の演習はありません。

個人で申し込んで使え、実名や勤務先の登録は要りません。会社に知らせることもありません(ログインにはメールアドレスか LINE を使います)。当日の前に、形式に一度触れておく場として使ってみてください。

無料体験を見る

関連する記事