昇格試験やアセスメントで、グループ討議が行われることがあります。5〜8人ほどで資料を読み、時間内に一つの結論を出す形が多いと考えられます(推測)。

就職活動で経験した人もいるかもしれません。けれども、昇格試験の討議は、見られている点が少し違います。この記事では、その違いから始めて、討議の流れ、評価される行動、役割の選び方、発言の型を説明します。

※この記事に出てくる討議の例は、説明のために作った架空のものです。

昇格試験の討議と就活の討議の違い

項目 就職活動の討議 昇格試験の討議
参加者 初対面の学生 同じ会社の同僚、他部署の人も
見られること 人柄、協調性、考える力 管理職として、議論をまとめて結論に導く力
テーマ 一般的な問い 架空の会社や職場の課題、資料つき
結論 出せればよい 根拠を示し、選ばなかった案の理由も言えるか

昇格試験では、受験者を「管理職として会議を動かせるか」という目で見ていると考えられます(推測)。目立つことより、議論を前に進め、質の高い結論に導くことが評価されやすくなります。

討議の流れ

時間が40分なら、次のような流れが目安になります。時間の長さに合わせて割合で考えてください。

時間 やること
0〜5分 資料を読む。進め方と時間配分を決める
5〜10分 目的と判断の基準をそろえる
10〜30分 案を出し、基準で比べ、絞る
30〜37分 結論をまとめ、理由を整理する
37〜40分 発表の準備、または結論の確認

一番大事なのは、案を比べる前に「何を基準に選ぶか」を合わせることです。基準がないまま案を出し合うと、声の大きい人の案に決まったり、時間切れで結論が出なかったりします。

評価される行動

討議で評価されやすい行動は、次のようなものです。

  • 進め方を提案する:最初に、時間配分と進め方を出す
  • 論点を整理する:出た意見を、基準ごと・案ごとにまとめ直す
  • 根拠を示す:資料の数字や事実を引用して話す
  • 人を巻き込む:発言の少ない人に話を振る。反対意見の言い分を言葉にしてから比べる
  • 他人の案を生かす:良い案を取り込み、磨いてチームの結論にする
  • 時間を管理する:残り時間を声に出して共有する
  • 結論を出す:折衷案に逃げず、選ぶ

結論を出さないことは、大きな失点になります。「どれも大事なので、すべてに取り組む」というまとめは、選んでいないのと同じに見えます。

役割の選び方

討議では、司会、書記、時間係などの役割を決めることがあります。役割は評価に直結するわけではなく、その役割の中で何をしたかが見られると考えられます(推測)。

  • 司会:議論を整理し、結論に導く。ただし、自分の意見を出さないと、考えが見えにくくなる
  • 書記:出た意見を見える形にまとめる。まとめながら論点を整理する発言ができる
  • 時間係:時間を区切り、次の段階に進める合図を出す
  • 役割なし:役割がなくても、進め方の提案や論点の整理はできる

無理に司会を取りに行く必要はありません。自分が力を出しやすい役割を選び、その中で議論を前に進める発言を意識します。司会を引き受けなかったときに、まとめや問いかけでどう貢献するかは、グループ討議で司会をしない人の評価のされ方で具体的に説明しています。

発言の型

発言は短く、結論から言います。次の型を覚えておくと、迷ったときに使えます。

  • 提案:「時間が40分なので、最初の10分で基準を決めませんか」
  • 整理:「ここまでで、案が3つ出ています。基準はコストと早さの2つです」
  • 根拠:「資料2の数字では、A案のほうが半年早く効果が出ます」
  • 巻き込み:「〇〇さんは、現場の立場からどう見ますか」
  • 橋渡し:「お二人の案は、早さを取るか、手堅さを取るかの違いですね」
  • 前進:「残り10分なので、基準に照らして一つに絞りましょう」

一つの発言に、言いたいことは一つにします。長い発言は、内容がよくても、議論の時間を奪っているように見えることがあります。

やってはいけないこと

  • 他の人の発言をさえぎる、否定から入る
  • 議論を勝ち負けにして、自分の案を押し通す
  • 黙ったまま最後まで過ごす
  • 資料にない思い込みで話す
  • 上位者(社長など)の案が資料にあるからといって、遠慮して残す、または反発して真っ先に外す
  • 評価者の介入や指摘に、むきになって反論する

上位者の案も、他の案と同じ基準で比べます。遠慮も反発も、考えるのをやめているように見えます。

評価者が口を挟んできたとき

討議の途中で、評価者や進行役が「その結論で本当によいですか」「時間が足りていますか」と問いかけてくることがあります。こうした介入は、議論を揺さぶって、そのときの動き方を見るためのものと考えられます。

慌てて結論を変える必要はありません。次の順で受け止めると、議論の質を上げるきっかけにできます。

  1. 問われた点を、グループに向けて言い直す(「今の指摘は、基準の選び方のことですね」)
  2. その点を短く確かめる(基準を見直すか、今のままでよい理由を言う)
  3. 残り時間を確かめて、元の流れに戻す

同じ会社の人と討議するときの注意

昇格試験の討議では、顔見知りの同僚や、他部署の先輩と同じグループになることがあります。普段の上下関係や付き合いが、発言のしかたに出やすい場面です。

  • 先輩の案だからと、比べずに受け入れない
  • 普段の業務の話や社内の事情を持ち込みすぎない。資料の中で考える
  • 親しい人どうしで話が回り、ほかの人が入れない形にしない

設定の中では、全員が同じ立場の参加者です。普段の関係から少し離れて、資料と基準で話すことを意識します。

架空の例:新店の出店先を選ぶ討議

小売の会社の設定で、3つの候補地から出店先を1つ選ぶ討議があったとします。開始から10分、各自が好きな候補を推し合い、話が進みません。

ここで一人が言いました。「まず、何を基準に選ぶかを決めませんか。資料では、投資の回収期間と、近くの競合の数が出ています」。基準が決まると、議論は候補を比べる話に変わり、残り時間で結論が出ました。

この発言は、目立つ意見ではありません。けれども、議論を前に進めた発言として、評価する側の記録に残りやすいものです。

結論のまとめ方

討議の最後には、結論とその理由をまとめます。発表がある形式なら、次の順にまとめると伝わりやすくなります。

  1. 結論:「私たちは、B案を選びました」
  2. 基準:「判断の基準は、投資の回収期間と、競合の数の2つです」
  3. 理由:「B案は、2つの基準のどちらでも、ほかの案を上回りました」
  4. 選ばなかった案:「A案は効果が大きいものの、回収に時間がかかるため外しました」
  5. 残る課題:「人員の確保は、出店の前に別に検討が要ります」

選ばなかった案の理由と、残る課題まで言えると、議論が深まったことが伝わります。まとめ役になった人だけでなく、ほかの参加者も、まとめに足りない点を短く補う形で関われます。

討議の後の振り返り

練習でも本番でも、討議が終わったら、その日のうちに次の4つを書き出しておきます。

  • 自分が議論を前に進めた発言はどれか
  • 発言しようとして、できなかった場面はどこか
  • 基準を決める前に、案の話に入ってしまった時間はなかったか
  • 結論に、選ばなかった案の理由まで入っていたか

評価者が討議の中で何を書き留めているかは、アセスメント研修のグループ討議で整理しています。振り返りの項目を、その記録の観点に合わせておくと、次の練習で何を直すかが決めやすくなります。

一人でできる練習

相手がいなくても、次の3つは準備できます。1回15分ほどで回せます。

  1. 新聞記事や社内の課題を一つ選び、判断の基準を3つ書き出す
  2. 案を3つ考え、基準で比べて1つに絞る。選ばなかった案の理由も書く
  3. 上の発言の型を、声に出して言ってみる

一人で確かめるときの限界

討議は、ほかの参加者の発言を受けてどう返すかが見られる演習です。一人でできる練習は考え方の準備までで、人の案を生かしながら結論へ運ぶ動きは、相手がいて初めて確かめられます。同僚や勉強会で、時間を区切って話し合う機会があれば使ってください。

昇格パスの無料体験では、登録の後に、昇格面接の3問(実績・抱負・マネジメント)を文字で1回ずつ練習できます。答えると「具体的には」などの深掘りの質問が続き、終わると評価票で、観点ごとの評価と根拠になった発言を確かめられます。

討議の演習はありませんが、問われたことに短く結論から答える練習にはなります。個人で申し込んで使え、実名や勤務先の登録は要りません。会社に知らせることもありません(ログインにはメールアドレスか LINE を使います)。

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