アセスメントや昇格試験では、案件処理演習(いわゆるインバスケット形式)を書き終えた後に、評価者との面接が続く形があります。自分の書いた回答を見ながら、「なぜこの案件を最初に処理したのですか」「この案件はなぜ手を付けなかったのですか」と聞かれます。

書いているときは必死でも、後から理由を聞かれると、うまく説明できないことがあります。この記事では、演習の後の面接で聞かれやすいことと、答えの準備の仕方を説明します。

※この記事に出てくる案件と会話は、説明のために作った架空のものです。特定の試験や教材の問題ではありません。

演習の後に面接がある理由

答案だけでは、なぜその順に処理したのか、なぜその人に任せたのかまでは読み取りきれないことがあります。演習の後の面接は、答案の裏にある考えを本人の口から確かめる場だと考えられます(推測)。

この面接で確かめられやすいのは、次のような点です。

  • 判断に、自分なりの理由があったか
  • 処理の順番に、筋が通っているか
  • 書き漏れや誤りに気づいたとき、どう受け止めるか
  • 面と向かって、落ち着いて説明できるか

演習で書けなかったことを、面接で補える場でもあります。ただし、後から考えを足しすぎると、言い訳に聞こえることもあります。

聞かれやすいこと

演習の後の面接では、たとえば次のような質問が考えられます。

質問 確かめていること
最初に処理した案件はどれで、なぜですか 優先順位の考え方
この案件で、なぜこの判断をしたのですか 判断の理由
この案件を部下に任せたのはなぜですか 委任の考え方
手を付けなかった案件はありますか。なぜですか 力の配分の判断
案件どうしのつながりに気づきましたか 関連づけの力
もう一度やるとしたら、何を変えますか 振り返りの力

全部を準備することはできません。ただ、どの質問にも、演習の中で自分が考えたことを、短く言えれば答えられます。

表の右の列は、答案の採点で見られる観点とほぼ重なっています。答案のどの書き方がどの観点に当たるかは、案件処理演習で評価される観点で確かめておくと、面接で聞かれる理由も見当が付きます。

判断の理由を短く言う型

判断の理由は、次の型で短く答えます。

  1. 結論:「〇〇と判断しました」
  2. 理由:「なぜなら、〇〇だからです」(1〜2つ)
  3. 見ていたこと:「〇〇の点も気にしていました」(必要なら)
  • 弱い答え:「えっと、この案件は、お客さまのことなので、急いだほうがいいかなと思って、それで最初に……」
  • 伝わる答え:「お客さまへの謝罪を最優先にしました。けががあった可能性があり、対応が遅れると被害と信用の両方に響くからです。原因の調べは係長に任せ、明日の朝までの報告を求めました」

理由が2つ以上あるときは、重いほうから1つだけ言い、聞かれたらもう1つを足します。最初から全部を並べると、結論がぼやけます。

処理しなかった案件の説明

時間内に全部の案件を処理できないことは、珍しくありません。手を付けなかった案件について聞かれたときは、2つの場合に分けて答えます。

わざと後回しにした場合

この案件は、社内行事の出欠の確認で、期限も来週でしたので、重要度が低いと判断し、後回しにしました。時間があれば、一言で返す予定でした。

後回しにした理由を言えれば、力の配分の判断として伝わります。

時間が足りなかった場合

時間が足りず、手を付けられませんでした。読んだ時点では、他部署から来月の行事に人を出してほしいという依頼で、課の来月の予定に関わるため重要だと見ていました。処理するなら、まず係長に出せる人と日を確かめさせ、私から先方の課長に返事をするつもりでした。

時間切れを認めたうえで、読んだときの判断と、処理するならどうするかを短く言います。言い訳を長くしないことが大切です。

とはいえ、面接で補えるのは考えの筋までです。重い案件は、演習の中で一行でも判断を残しておくほうが安心です。時間配分の考え方は、案件処理演習の進め方で説明しています。

書き漏れを指摘されたとき

面接で、「この案件の、この点に触れていませんね」と指摘されることがあります。慌てて言い訳をしたり、反論したりすると、指摘への受け止め方が見られている場面で、印象を下げやすくなります。

答えの順番は、次のとおりです。

  1. まず受け止める:「ご指摘のとおり、その点は書けていませんでした」
  2. 今の考えを言う:「今考えると、〇〇をすべきでした」
  3. 次にどう生かすかを言う(必要なら):「案件の関連を、読む段階でもっと確かめるようにします」

気づいていたが書かなかった、という場合も、まず書けていなかったことを認めます。そのうえで、「気づいてはいましたが、時間の都合で書きませんでした。書くとしたら〜です」と補います。

すぐに言葉が出ないときは、「少し考えさせてください」と断ってから話し始めても失礼にはなりません。言葉に詰まった後の戻り方は、昇格面接で答えられない質問が来たときに例を挙げています。

深掘りが続いたとき

1つの答えに対して、「それはなぜですか」「ほかの方法は考えませんでしたか」と、質問が重ねられることがあります。深掘りは、考えの筋がどこまで通っているかを確かめるためのもので、答えが間違っていたという合図とは限りません。

続けて聞かれたときは、次の点を意識します。

  • 前の答えと矛盾しないように、最初に言った理由に立ち返って話す
  • ほかの方法を聞かれたら、考えた案と、選ばなかった理由を1つずつ言う
  • 本当に考えていなかった点は、そう認めたうえで、今ならどうするかを言う

深掘りに答えを合わせて結論を次々に変えると、判断の軸がないように見えやすくなります。新しい事実を示されたときだけ、理由を添えて見直します。

演習の最中にできる準備

面接があると分かっている場合は、演習の最中から備えておけます。答案とは別に、余白や下書きの欄に、次のような短いメモを残します。

  • 優先度を付けたときの、上位3件の番号と理由の一言
  • 任せた案件で、その人を選んだ理由の一言
  • 後回しにした案件の番号と、後回しにした理由の一言

メモは、きれいに書く必要はありません。面接で聞かれたときに、考えた筋をたどり直せれば十分です。メモが許されているかは、当日の説明で確かめます。

面接の前の数分でできること

演習が終わってから面接までに、短い時間が取れることがあります。その時間で、次の3つを確かめます。

  • 最初に処理した案件と、その理由
  • 手を付けなかった案件と、その理由
  • 自分で気づいている書き漏れ

自分で気づいている書き漏れは、聞かれる前に言う必要はありません。聞かれたときに、慌てずに受け止められるよう準備しておくためのものです。

架空の例:答えを準備した後と前

リフォーム会社で営業所長の候補になっているGさんは、アセスメントの練習で、演習の後の面接を受けました。評価者役から「部下がお客さまに金額の違う見積書を送った案件を、なぜ自分で処理したのですか」と聞かれました。

最初の練習でのGさんの答えは、次のようなものでした。

部下に任せると、また間違えるかもしれないと思ったので、自分でやりました。

評価する側から見ると、部下を信頼していない、育成の機会を逃している、と受け取られかねない答えです。Gさんは、自分の判断を見直し、次のように答え方を直しました。

お客さまへのお詫びと正しい見積書の説明は、所長の私が行うべきだと判断しました。一方で、見積書を出す前の確かめ方の見直しは、本人と主任に任せるべきでした。答案では、そこが書けていませんでした。

書けていなかった点を認め、本来どうすべきだったかを短く言っています。

一人で確かめるときの限界

判断の理由を短く言う練習は、一人でもできます。演習の練習で書いた答案を見ながら、案件ごとに理由を声に出して言ってみます。ただ、評価者がどこを突いてくるかは、自分では予想しにくいものです。

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