東京都の管理職選考は、課長級の職に就くための一次の選考です。東京都人事委員会は、毎年、選考の実施要綱を公開しています。形式、時間、字数、評定の観点まで書かれているので、まず要綱を読むことが、準備の出発点になります。
この記事では、令和8年度の実施要綱(令和8年2月6日に人事委員会で決定)から、選考の種別と形式を整理し、準備の考え方を説明します。過去の出題は扱いません。数字や日程は令和8年度のもので、年度によって変わることがあります。受ける年の要綱が出たら、最新の内容で確かめてください。
※この記事に出てくる人物は、説明のために作った架空のものです。
公開資料で確かめること
要綱を読むときは、次の項目を書き出します。
- 自分が受けられる種別と区分
- 受験資格(年齢、職級、在職期間)
- 筆記考査の科目、時間、出題数、字数
- 評定の観点
- 口頭試問の対象と回数
- 日程(申込、筆記、口頭試問、合格発表)
- 免除の仕組みと、成績の告知
結果の実績は、東京都が毎年公表している「人事行政の運営等の状況」で確かめられます。
選考の種別
管理職選考は、種別Aと種別Bに分かれ、それぞれに事務系と技術系の区分があります。
| 種別A | 種別B | |
|---|---|---|
| 主な対象 | 主任級職選考などの合格者で、2級職の在職期間が一定の範囲にある人 | 3級職以上の職に一定期間ある人など |
| 年齢 | 53歳未満 | 56歳未満 |
| 筆記考査 | 択一、記述(技術系のみ)、論文 | 記述、論文 |
| そのほか | 勤務評定、口頭試問(個別面接2回)、適性評定 | 同じ |
| 令和8年度の合格予定者数 | 62名(事務系47名、技術系15名) | 108名(事務系73名、技術系35名) |
受験資格の細かい条件(在職期間の数え方、対象となる採用区分など)は、要綱で確かめてください。
令和6年度の実績では、種別Aは受験者683人のうち合格者60人(合格率8.8%)、種別Bは受験者617人のうち合格者113人(合格率18.3%)でした(令和7年度の公表資料)。ここでの合格者は一次選考の合格者で、その後の判定を経て最終の合格になります。
択一の準備
択一は、種別Aにあります。令和8年度の要綱では、次の形です。
| 区分 | 時間 | 出題数 | 出題分野 |
|---|---|---|---|
| 事務系 | 1時間40分 | 40題(必須解答) | 都政事情、政治経済等事情、経済・財政、行政管理、経営、会計に関する知識 |
| 技術系 | 1時間15分 | 30題(必須解答) | 都政事情、政治経済等事情、行政管理、経営に関する知識 |
択一の位置づけで大事なのは、択一(技術系は記述も)の成績が一定の基準に達した人について、論文、勤務評定、口頭試問、適性評定の成績を総合して合否を決める、という仕組みです。つまり、択一は基準に届くことが前提になります。
準備の考え方は次のとおりです。
- 分野ごとに範囲を決める:出題分野の一覧を書き出し、得意・不得意を分ける
- 都政事情は、都の公表資料から:都の計画や重点施策の要点を押さえる
- 問題を解いて慣れる:知識を読むだけでなく、時間を計って解く
分野の数が多いので、全部を同じ深さで仕上げようとすると、論文の時間がなくなります。最初の1か月で各分野を一通り解いて、正答が少ない分野を2つか3つ選び、そこに時間を寄せるほうが進めやすくなります。間違えた問題は、正しい選択肢を覚えるより、なぜ他の選択肢が誤りなのかを一言で書き添えておくと、似た問題に強くなります。
要綱では、択一の成績が一定の基準に達した人は、翌年度から3年間、択一が免除される仕組みも示されています。「択一のみ」の受験も、条件付きで認められています。何年かに分けて受ける計画を立てる人は、この仕組みを確かめておくとよいでしょう。
論文の準備
論文は、種別Aと種別Bで形式が違います。
| 種別A | 種別B | |
|---|---|---|
| 時間 | 2時間50分 | 2時間 |
| 出題 | 2題から1題を選ぶ | 選考区分(事務系は職群)ごとに2題から1題を選ぶ |
| 字数 | ①問題点の抽出と課題の整理:400字程度 ②課題の分析と解決策:1,300字以上1,800字程度 | 1,500字以上2,000字程度 |
| 形 | 資料から問題点を抜き出す出題 | 課題式 |
評定の観点は、どちらも「問題意識、政策形成力、論理性、表現力等」です。
種別Aの論文は、資料を読み、問題点を抜き出して課題を整理する前半と、課題を分析して解決策を論じる後半に分かれます。準備では、次の2つを分けて練習します。
- 資料を読んで問題点を拾う練習:数字、変化、食い違いに印を付け、問題点を短い文で並べる
- 課題から解決策を組み立てる練習:原因を分析し、組織として実行できる解決策を、誰が・何を・いつまでにで書く
政策形成力が観点に入っているので、解決策は自分の係の改善にとどまらず、都の施策としての広がりまで考えることが求められると考えられます(推測)。論文のテーマの型と材料の集め方は、昇任試験の論文テーマにまとめました。
課長級の論文では、主任や係長の論文と比べて、書き手の立ち位置を一段上げる必要があります。部門の方針として書くための視点の上げ方は、管理職(課長)の昇格論文で詳しく扱っています。民間向けの記事ですが、視点の上げ方の考え方は共通です。
前半と後半がつながっているかの点検
種別Aの論文は、前半と後半が別々の答えになってしまうと、論理性の面で弱く見えやすくなります(推測)。書き終えたら、次の3点を確かめます。
| 点検すること | つながっていない例 |
|---|---|
| 前半で挙げた問題点が、後半の課題にすべて引き継がれているか | 前半で3つ挙げたのに、後半では2つしか扱っていない |
| 後半の解決策が、それぞれどの課題に対応しているか | 解決策が課題と1対1で対応せず、思いついた順に並んでいる |
| 解決策を、誰が、どの順で進めるかが書かれているか | 「推進する」「徹底する」で終わり、進め方が見えない |
この点検は、時間を計った練習の後に毎回行うと、本番でも書きながら意識できるようになります。慣れてきたら、書き始める前の構成メモの段階で、問題点と課題と解決策を線で結んでおくと、書いている途中のずれも防げます。
口頭試問の準備
口頭試問は、個別面接を2回行います。対象は、択一などの成績が基準に達した人のうち、論文と勤務評定の成績を総合して一定以上の人で、合格予定者数の1.5倍程度などとされています。評定の観点は「表現力、判断力、積極性等」です。
令和8年度の日程は、1回目が8月3日・4日、2回目が8月6日・7日、合格者の発表は8月26日の予定です。1回目を欠席すると、2回目は受けられないと書かれています。
準備では、管理職としての志望、これまでの実績、職場や都政の課題と自分ならどう取り組むか、を話せるようにします。面接の質問の系統は、昇任試験の面接で説明しています。
口頭試問は筆記の後、夏に行われる日程です。筆記が終わってから面接の準備を始めると、間が短く感じられるかもしれません。春のうちに、志望と実績を1分ずつで話せるメモを作っておくと、筆記の後に慌てずに済みます。
仕事と準備の両立
令和8年度の筆記考査は5月24日、申込は2月9日から20日まででした。要綱の発表から筆記まで、約3か月半です。仕事を続けながら準備するには、早めに計画を立てる必要があります。
架空の例で考えます。都の出先の事業所で主任をしているBさんは、平日は残業が多く、まとまった時間が取れませんでした。Bさんは、平日は通勤の時間に択一の問題を解き、週末に論文を1本、時間を計って書く、と分けました。択一は細かい時間で、論文はまとまった時間で、と使い分けた例です。
最初の数本の論文で、Bさんは資料の数字を前半にたくさん書き写していました。読み返すと、問題点が数字の言い換えになっていて、何が問題なのかが一文で言えていませんでした。そこで、資料の数字は根拠として1つだけ添え、問題点は「誰にとって、何が困るのか」の形で書くように直しました。後半の解決策も、その困りごとに対応させて書けるようになりました。
成績の告知の仕組みもあります。不合格だった場合、受けた試験の成績が告知されると要綱に書かれています。翌年に向けて、どこを伸ばすかを決める材料になります。
一人で練習するときの限界
管理職選考の論文は、2時間を超える長い試験です。問題点の拾い方や、課題と解決策の対応が弱いところは、書いた本人が読み返しても気づきにくいものです。職場の管理職に何本も読んでもらうのは、頼むほうも気が引けます。
昇格パスの論文の演習では、自治体の区分(管理職)を選んで練習できます。材料の整理、骨組み、時間を計った本番、観点ごとの採点、書き直しの比較までを一人で進められます。採点では、本文の該当箇所を根拠として示します。
本文を代わりに書くことはしません。論文は無料体験の対象に入っていないため、まずは演習の内容をプランの説明でご確認ください。昇格面接の3問は、登録の後に無料で試せます。
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