公務員の昇任試験では、択一や論文を通った後に、面接が置かれていることが多く見られます。当サイトで読んだ体験記でも、公務員の面接は筆記や論文の後の段階にある例が多くありました(2026年10月)。
面接の呼び方は、自治体によって「面接」「口頭試問」などと違います。時間も、15分ほどの例から、20分を2回行う例までさまざまです。
この記事では、公務員の係長・管理職の昇任面接で確かめられることと、よく聞かれる質問の系統、答えの組み立て方を説明します。
※この記事に出てくる人物と答えの例は、説明のために作った架空のものです。
昇任面接で確かめられること
公開されている例として、東京都の管理職選考の口頭試問は、個別面接を2回行い、「表現力、判断力、積極性等」について評定するとしています(令和8年度の実施要綱)。
教員の例では、島根県の校長・教頭の選考で、一次の面接が15分、二次の面接が20分を2回、とされています(令和7年6月の会議資料)。
公開の範囲は自治体によって違いますが、面接で確かめたいことは、おおむね次の3つにまとめられます(推測)。
- 役割をわかっているか:係長・管理職として、何をする立場かを自分の言葉で言えるか
- 判断できるか:住民対応や部下の問題で、筋の通った判断ができるか
- 伝えられるか:結論から、落ち着いて話せるか
自分の自治体の要綱や案内に、面接の観点が書かれていれば、それを手元に置いて準備します。
よく聞かれる質問の系統
昇任面接の質問は、おおむね次の系統に分けられます。
| 系統 | 質問の例 |
|---|---|
| 志望・役割 | なぜ昇任を目指すのか。係長(管理職)の役割をどう考えるか |
| 実績 | これまでの仕事でいちばん力を入れたこと。そのときの自分の役割 |
| 職場の課題 | 今の職場の課題と、昇任したらどう取り組むか |
| 住民・議会への対応 | 苦情や要望、説明の場面でどう動くか |
| 部下・係員への対応 | 係員の育成、困った係員への対応 |
| 行政の課題 | 自治体の重点施策や、自分の分野の課題をどう見るか |
| 倫理・服務 | 不正や不適切な行為を見つけたらどうするか |
論文を事前に書く試験や、当日の論文がある試験では、論文の内容を深掘りされることもあります。書いた内容と面接の話が食い違わないよう、論文の要点を見直しておきます。
住民対応・議会対応の問い
公務員の面接らしい問いが、住民や議会への対応です。たとえば次のような形で聞かれます。
- 窓口で、住民から強い苦情を受けたらどうしますか
- 制度上できない要望を、どう説明しますか
- 議会への答弁の準備で、係長として何をしますか
答えるときは、次の流れを意識します。
- 相手の話を聞き、事実を確かめる
- ルール(法令・制度)に照らして判断する
- できないことは理由を添えて伝え、できる代わりの案を探す
- 上司に報告し、組織として対応する
- 同じことが起きないよう、手順や説明を見直す
「住民の立場に立って丁寧に対応します」だけでは、判断の中身が見えません。公平さとルールを守ることと、相手の事情をくむことを、両方とも言葉にします。
部下・係員への対応の問い
係長以上の面接では、人を動かす力が確かめられます。次のような問いが典型です。
- 仕事の遅れが続く係員に、どう対応しますか
- 年上の係員と意見が合わないとき、どうしますか
- 係員から、ほかの係員とのトラブルを相談されたらどうしますか
答えの骨組みは、事実を確かめる → 本人の話を聞く → 判断の基準を示す → 具体的な行動 → 上司への報告・相談、です。
ハラスメントや心身の不調が関わる問いでは、自分だけで抱え込まず、職員の相談窓口や人事の担当につなぐことを、答えの中に入れておきます。面接で、誰が悪いかをその場で決めつける必要はありません。
回答の組み立て方
どの系統の質問でも、次の4つの順で話すと、まとまりやすくなります。
- 結論:「私は〜します(〜と考えます)」
- 理由:なぜそう判断するか
- 具体例:自分の経験か、職場の事実
- 役職としての一言:係長(管理職)として、組織にどう広げるか
架空の例で比べます。県の税務の課で主任をしているNさんは、「係長の役割をどう考えますか」と聞かれて、最初はこう答えていました。
係長は、係員をまとめ、上司を補佐する大切な役割だと考えています。
間違ってはいませんが、どの受験者でも言える答えです。Nさんは、自分の係の事実を入れて言い直しました。
係長の役割は、係の仕事を、特定の人に頼らずに回る形にすることだと考えます。今の係では、滞納の相談の対応が2人に集中しています。係長になったら、対応の手順を共有し、半年で係の全員が一次対応できるようにします。
結論、職場の事実、具体的な取組が入り、深掘りされても話を続けやすい答えになっています。
係長と管理職で、答えの高さを変える
同じ質問でも、係長の選考と管理職の選考では、求められる答えの範囲が違うと考えられます(推測)。
- 係長の選考:係の仕事をどう回すか。係員一人ひとりにどう関わるか。課長をどう補佐するか
- 管理職の選考:課や部の方針をどう決めるか。係長にどう任せるか。議会や他部局とどう調整するか
たとえば住民の強い苦情の問いなら、係長の答えは「自分が対応を引き取り、係員を守りつつ、課長に報告する」が中心になります。管理職の答えでは、「同じ苦情が続くなら、説明の資料や窓口の手順を課として見直す」まで広げます。
係長の役割に引き寄せた答え方は、係長の昇格面接・昇任面接の質問でくわしく扱っています。論文と面接の両方で問われる係長像は、公務員の係長昇任試験で整理しました。
よくある答えと直し方:住民対応の問い
「制度上できない要望を、どう説明しますか」と聞かれたときの例です。
最初の答え:「住民の方の気持ちに寄りそい、丁寧に説明します」。
評価する側から見ると、気持ちの話だけで、判断の中身が見えません。どこまでを断り、何を代わりに示すのかが分かりません。
直した答え:「まず要望の背景を聞きます。そのうえで、要件に当たらない理由を、根拠の規定を示して説明します。ほかに使える制度があれば案内し、説明の内容は記録して課長に報告します」。
公平さとルールを守ることと、相手の事情をくむことが、両方とも答えに入っています。
練習の仕方
- 系統ごとに材料を書く:上の表の7つの系統に、それぞれ3〜4行の材料を用意します。
- 自治体の計画を確かめる:重点施策と、自分の分野の課題を、数字とともに3つほど言えるようにします。
- 1分で話す:時間を計り、声に出します。
- 深掘りを考える:「具体的には」「なぜ」「それでもうまくいかなかったら」と自分に問います。
- 論文と話をそろえる:論文がある試験なら、論文の課題と面接の話が一致しているかを確かめます。
面接の質問の系統と深掘りへの備えは、昇格面接でよく聞かれることでも説明しています。考え方は、民間の面接と共通する部分が多くあります。
面接の前日に見直すもの
前日は、新しい答えを作るより、手元の材料を確かめる時間にします。
- 系統ごとの材料のメモと、そこに書いた数字
- 自治体の重点施策と、自分の分野の主な数字
- 論文がある試験なら、自分が書いた論文の課題と取組の要点
- 昇任後の役職の役割について、自治体が示している資料の言葉
うろ覚えの数字を話すと、深掘りで食い違いが出やすくなります。数字は前日に確かめ、自信のないものは使わないと決めておきます。
当日は、面接室に入る前に、材料のメモの見出しだけを読み返します。全部を読み直そうとすると、かえって落ち着かなくなります。答えに詰まったときは、質問を言い直して確かめ、数秒考えてから答えてかまいません。
一人で確かめるときの限界
系統ごとの材料と1分の話は、一人でも準備できます。ただ、面接官がどこを深掘りしてくるかは、自分で考えると答えやすい問いに偏りがちです。外からの問いに、その場で答える経験を一度は持っておくと安心です。
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