昇格試験では、試験の日より前に、課題やレポートの提出を求められることがあります。「職場の課題と、その解決策」「これまでの業務の成果と今後の目標」のような題で、数枚の書類をまとめる形です。
事前課題は、時間をかけて書ける分、当日の論文より出来の差がつきにくいと思われがちです。ただ、面接で深掘りされることが多いので、書き方次第で面接の進み方が変わると考えられます(推測)。
この記事では、事前課題を、面接の材料を作る準備として進める方法を説明します。
※この記事に出てくる会社、人物、例は、説明のために作った架空のものです。代わりに書く文章の見本は載せていません。
事前課題の種類
事前課題の題は会社ごとに違いますが、この記事では大きく次の3つの種類に分けて考えます。
| 種類 | 題の例 | 中心になる中身 |
|---|---|---|
| 課題と解決策 | 職場の課題と、あなたが取り組むこと | 問題、原因、打ち手、効果 |
| 成果と目標 | これまでの成果と、昇格後の目標 | 実績、学び、抱負 |
| 方針への考え | 会社の方針を受けて、自部署で何をするか | 方針の理解、自部署への落とし込み |
決まった様式の欄を埋める形もあれば、自由に数ページ書く形もあります。字数や枚数、書式の決まりは、案内に従います。
設問の読み方
事前課題で最初にすることは、設問を細かく読むことです。設問には、答えるべき問いが複数含まれていることがあります。
設問を、次のように分けて書き出します。
例:「あなたの職場の課題を一つ挙げ、その原因と、課長代理として取り組む施策を述べなさい」
- 問い1:職場の課題を一つ
- 問い2:その原因
- 問い3:課長代理として取り組む施策
分けた問いの一つずつに、見出しか段落を対応させます。「一つ挙げ」とあれば、課題を2つ以上書かないようにします。「課長代理として」とあれば、受ける役職の立場で書きます。設問の条件を外すと、中身がよくても、問いに答えていないと読まれるおそれがあります。
職場の事実の集め方
事前課題は時間をかけて書ける分、読む側も、当日の論文より事実の裏付けがあるものを期待して読むはずです。思いつきではなく、数字と具体的な場面で書きます。
集める材料は、次の3つです。
- 数字:件数、時間、割合、金額など。記録がなければおおよその値でかまわない
- 場面:問題が起きた具体的な出来事。いつ、どこで、何が起きたか
- 声:上司、同僚、お客様から聞いた声(名前は伏せる)
材料を集めるときは、職場の人に聞くこともあります。課題の提出のためと伝えて、仕事の負担にならない範囲で聞きます。社外秘の数字は、割合や目安に置きかえます。
面接で深掘りされる前提で書く
事前課題は、面接で深掘りされる前提で書きます。面接官は、提出された書類を読んで、気になったところを質問してくると考えられます(推測)。
深掘りされやすいのは、次のような所です。
- 数字の根拠(「この数字は、どうやって出しましたか」)
- 原因の掘り下げ(「本当の原因は、それだけですか」)
- 打ち手の実現性(「その施策に反対する人はいませんか」「予算はどうしますか」)
- 自分の役割(「あなた自身は、具体的に何をしますか」)
書いた後、自分の書類を読み、この4つの問いに答えられるかを確かめます。答えられない所があれば、書類に足すか、面接で話せるように材料をメモしておきます。
書類に書いたことと、面接で話すことがずれないようにすることも大切です。提出した書類の写しを手元に残し、面接の前に読み直します。
盛らない
事前課題では、よく見せようとして、数字や成果を大きく書きたくなります。面接で根拠を聞かれたときに答えられないと、ほかの部分まで疑って読まれるおそれがあります。事実を正確に書き、足りない所は「今後の課題」として正直に書くほうが、深掘りに耐えられます。
期限までの進め方
事前課題は、提出の期限まで数週間あることが多いはずです。次のように分けて進めると、仕事の合間でも進めやすくなります。
| 時期 | すること |
|---|---|
| 1週目 | 設問を分け、材料を集める。数字と場面をメモする |
| 2週目 | 骨組みを作る。問いごとに、どの材料を使うかを決める |
| 3週目 | 書く。1日で全部書かず、問いごとに分けて書く |
| 提出の前 | 読み直し、深掘りの4つの問いで確かめる。誤字と書式を確かめる |
期限の直前に書き始めると、材料を集める時間がなくなり、一般論で埋めてしまいがちです。最初の週に設問を分けて材料を集めるところまで進めておくと、後が楽になります。
種類ごとに気をつけること
事前課題の種類によって、気をつけることが少しずつ違います。
課題と解決策の型では、書類の分量が多い分、原因の掘り下げに字数を使えます。当日の論文では1段で止まりがちな「なぜ」を、記録や聞き取りで確かめながら2〜3段まで進めておくと、面接で「本当の原因は」と聞かれたときの答えがそのまま手元に残ります。
成果と目標の型では、過去と未来が別々の話にならないように気をつけます。成果の段落の最後に「この経験から得たこと」を1文で書き、目標の段落の最初でその1文をもう一度使うと、二つの段落が橋でつながります。数字にしにくい成果の扱い方は、昇格試験の実績の書き方が参考になります。
方針への考えの型では、会社の方針を書き写すだけにならないように気をつけます。方針のうち、自分の部署に関係する部分を一つ選び、部署の事実に置きかえて、何をするかを書きます。方針の言葉を並べるだけでは、自分の考えが見えにくくなります。
どの型でも、受ける役職の立場で書くことは同じです。「担当として頑張る」ではなく、「部下や係をどう動かすか」を中心に書きます。
書いたものを人に見てもらう
書いた書類は、提出の前に誰かに読んでもらえると、自分では気づかない点が見えます。上司に見てもらう会社もあれば、受験者本人だけで書く決まりの会社もあります。社内の決まりを確かめてから頼みます。
人に頼むときは、「わかりにくい所」と「質問したくなる所」に印を付けてもらう形にすると、面接の準備にもなります。文章を直してもらうのではなく、読む側の疑問を集めるつもりで頼みます。
架空の例:設問を分けて材料を当てる
場面:物流会社の倉庫で主任をしているKさんは、係長の昇格試験の事前課題を受け取りました。設問は「担当する業務の課題を一つ挙げ、その原因と、係長として取り組む施策と期待する効果を述べよ(2,000字以内)」でした。
Kさんは、設問を4つの問いに分け、材料を当てました。
- 課題:出荷の前の検品で、見落としによる誤出荷が月に8件ほど出ている
- 原因:検品の手順が人によって違い、繁忙期に確認が省かれる
- 施策:検品の手順を一つにそろえ、繁忙期だけ確認の担当を1人増やす
- 効果:3か月後に、誤出荷の件数を比べる
骨組みができた段階で、深掘りの4つの問いで確かめました。「月に8件」の根拠は出荷の記録、反対しそうな人はベテランの作業員、と答えを用意しました。
事前課題に書いた職場の課題は、面接で「職場の課題は何か」と聞かれたときの材料にもなります。答え方は、昇格面接の「職場の課題は何か」で説明しています。
提出の後にすること
提出した後も、面接の日までにできる準備があります。書類の写しを読み直し、各段落の横に、面接で聞かれそうな質問と、その答えの要点を1行ずつ書き込みます。
提出から面接までの間に、職場の状況が変わることもあります。書いた数字が新しくなっていたら、面接では「提出の後、こう変わりました」と添えられるようにしておきます。書類と違うことを言うのではなく、書類の続きを話す形にすると、ずれて見えません。
書いたものを見てもらうには
事前課題は何度でも書き直せる分、どこで手を止めればよいかが一人では分かりにくい書類です。直すたびに文章は整っても、設問への答え方や職場の事実の厚みが変わっていないことがあります。
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