論文の試験では、書き終えた後の見直しで、点を落とす原因をいくつか取り除けます。ただ、残り時間が少ない中で、全部を読み直して直すことはできません。

この記事では、提出前の10分ほどで確かめられることを、優先の順に点検表にしました。練習で書いた論文を見直すときにも使えます。

※この記事に出てくる例は、説明のために作った架空のものです。論文の決まりに合わせ、そのまま写せる段落や全文の見本は載せていません。

見直しに使う時間

見直しの時間は、全体の1割ほどを目安に、最初から残しておきます。60分の試験なら6〜8分、90分なら10分前後です。

時間が少ないときは、全部を読み直すのではなく、次の順に確かめます。順番は、点への影響が大きいと考えられるものからです(推測)。

  1. 設問に答えているか
  2. 問題・課題・解決策がつながっているか
  3. 文体と表記がそろっているか
  4. 字数と段落が条件に合っているか
  5. 誤字・脱字

見直しの数分を最後まで残しておくには、書く前に配分を決めておく必要があります。60分・90分それぞれの割り振りの例は、試験時間内に論文を書き切るに載せました。

設問に答えているか

最初に確かめるのは、設問とのずれです。どれだけ文章がよくても、問われたことに答えていなければ評価されにくいと考えられます(推測)。

確かめること 見るところ
設問の言葉が入っているか 序論と結論に、設問のテーマの言葉があるか
問われた立場で書いているか 「係長として」と問われたら、係長の立場の打ち手か
設問が2つに分かれているとき、両方に答えているか (1)と(2)の役割を取り違えていないか
設問の条件を満たしているか 「具体例を挙げて」「2つ以上」などの条件

ずれに気づいたとき、全部を書き直す時間はありません。序論か結論に、設問の言葉で1文を足すだけでも、ずれを小さくできることがあります。

問題・課題・解決策がつながっているか

次に、論文の筋を確かめます。見るのは、段落どうしのつながりです。

  • 現状の段落で挙げた問題に、解決策が1つずつ対応しているか
  • 解決策の段落に、現状で触れていない話が急に出てきていないか
  • 結論の効果が、解決策から出てくるものになっているか

たとえば、現状で「手順が人によって違う」と書いたのに、解決策が「研修を増やす」だけだと、問題と解決策がずれて見えます。見直しの時間では、解決策の段落の最初の1文に、どの問題への手かを足すと、つながりが見えやすくなります。

あわせて、段落の結びの文だけを拾い読みします。結びが「〜に努める」「〜を図る」ばかりなら、そのうち1つだけでも、数字か期限の入った文に差しかえます。どの文が一般論に当たるかの見分け方は、論文で「一般論」と言われたときが詳しく扱っています。

文体(です・ます/である)と表記

文体と表記のばらつきは、見直しで直しやすい点です。

確かめること 例
文体がそろっているか 「である」で書いているのに、途中に「です」が混ざっていないか
用語がそろっているか 「部下」「職員」「メンバー」が混ざっていないか
主語がそろっているか 「私は」で書き始めたら、最後まで同じ主語か
数字の書き方がそろっているか 算用数字と漢数字、全角と半角が混ざっていないか

文体は、指定がなければ「である」調で書くことが多いと考えられます(推測)。指定があれば、それに従います。どちらで書くかより、最後までそろっていることが大切です。

字数と段落

字数の条件は、試験によって「〇字以上〇字程度」「〇字以内」などと決まっています。条件を満たしていないと、内容の前に減点されるおそれがあります。

  • 下限の字数に届いているか
  • 上限を大きく超えていないか
  • 段落が、構成メモのとおりに分かれているか
  • 1つの段落が長すぎないか(読みやすさの目安として、数行で区切る)

字数が足りないときは、解決策の段落に、誰が、いつまでに、を足すのが早い方法です。中身も具体的になるので、字数合わせの水増しに見えにくくなります。

800〜1,200字ほどの短い小論文では、1文を足すだけで字数の配分が大きく変わります。短い字数での配分の目安は、昇格試験の小論文(800〜1,200字)にまとめています。

誤字・脱字

最後に、誤字と脱字を確かめます。とくに見落としやすいのは次の点です。

  • 同じ音の言葉の取り違え(「以外」と「意外」、「対象」と「対照」など)
  • 送り仮名のばらつき
  • 手書きの場合、読みにくい字

手書きの訂正は、試験の決まりに従います。決まりがなければ、二重線で消して、近くに正しい字を書くのが一般的です。

短い時間で読むための読み方

10分で全文をていねいに読むのは難しいものです。点検の項目ごとに、読む場所を絞ります。

点検の項目 読む場所
設問とのずれ 序論の最初の2文と、結論の最後の2文
つながり 各段落の最初の1文だけを続けて読む
文体 各文の文末だけを目で追う
用語 「部下」「職員」など、人を指す言葉を探す
誤字 数字と固有の用語の前後

段落の最初の1文だけを続けて読んで筋が通っていれば、論文の骨組みは崩れていません。文末だけを追う読み方は、文体の混ざりを見つけるのに向いています。

パソコンで書く試験の見直し

パソコンで打つ試験では、手書きとは違う間違いが起きます。

  • 変換の誤り(「以上」と「異常」など)
  • 貼り付けや削除の跡(同じ文が2回ある、文の途中で切れている)
  • 字数の数え方(空白や改行を数えるかは、試験の決まりで確かめる)

書いた文を後から動かしやすい分、段落の途中に前の版の文が残っていることがあります。見直しの最初に、段落の頭と終わりを1回ずつ見ておくと見つけやすくなります。

事前に提出する論文の見直し

事前に提出する論文では、時間をかけて見直せます。会場の試験とは別に、次の点も確かめます。

  • 一晩おいてから読む:書いた直後は、頭の中の説明で行間を補ってしまいます
  • 印刷して読む:画面では見落とす誤字や、段落の長さの偏りに気づきやすくなります
  • 声に出して読む:息が続かない文は、長すぎる文です
  • 職場の情報の書き方:社名、人名、社外秘の数字を、決まりに沿って伏せているか

事前提出の論文は、面接で中身を聞かれることがあります。見直しの最後に、各段落について「具体的には」と聞かれたら何を答えるかを、1行ずつ書いておくと、面接の準備にもなります。

直さないほうがよいこと

見直しの時間に、やらないほうがよいこともあります。

  • 段落の入れ替え:時間が足りなくなり、つながりが崩れるおそれがあります
  • 新しい解決策の追加:現状の段落と対応しない話が増え、筋が乱れます
  • 言い回しの好みでの書き直し:意味が通じていれば、そのままにします

見直しの目的は、よりよい論文に作り直すことではなく、点を落とす原因を取り除くことです。大きな直しが必要だと気づいたら、それは次の練習の課題として記録します。

架空の例:見直しで見つけた直し点

市役所で係長の選考を受けるNさんは、練習で書いた論文を点検表で見直し、次の直し点を見つけました。

点検の項目 見つけたこと 本番の見直しでの直し方
設問とのずれ 「係長として」と問われたのに、担当者の工夫が中心だった 解決策の段落の頭に、係の人に何を任せるかを1文足す
つながり 現状で挙げた「引き継ぎの漏れ」に対応する解決策がなかった 次の練習で材料を足す(本番では入れ替えない)
文体 結論の段落だけ「です・ます」になっていた 文末をそろえる
用語 「職員」と「スタッフ」が混ざっていた 「職員」にそろえる

2行目のように、見直しの時間では直しきれないものもあります。それは本番の課題ではなく、練習の課題として記録します。

練習のときの見直し

練習で書いた論文は、本番より時間をかけて見直せます。上の点検表で見つかった直し点を、毎回1行ずつ記録しておきます。

記録が3回分たまると、自分がつまずきやすい点が見えてきます。文体が混ざりやすい人、解決策が問題とずれやすい人など、癖はさまざまです。癖がわかれば、本番の見直しでは、その点を最初に確かめます。

記録は、点検表の項目の名前と、見つけた箇所を1行で書くだけで足ります。本番の前日に読み返すと、見直しの10分で最初に見る場所が決まり、当日に迷う時間が減ります。

書いたものを見てもらうには

点検表を使っても、自分で見直すと、書いたときの思い込みのまま読んでしまいます。文体や誤字は見つけられても、設問とのずれや筋の飛びは、書き手には見えにくいところです。

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