試験の案内が遅れて届いた、ほかの準備に追われていた、などの理由で、論文の試験まで2週間しかないことがあります。焦って文章の見本を探し始める人もいますが、見本を覚えても、当日の設問に合わせて書けるとは限りません。
この記事では、残り2週間で論文の練習をどう回すかを、日ごとの予定で説明します。平日は1日30分〜1時間、週末に2時間ほど取れる人を想定しています。
※この記事に出てくる例は、説明のために作った架空のものです。論文の決まりに合わせ、そのまま写せる段落や全文の見本は載せていません。
2週間でできること・できないこと
最初に、2週間でやることを絞ります。
| できること | できないこと |
|---|---|
| 自分の職場の材料を集めて整理する | あらゆるテーマに備える |
| 時間を計って3〜4本書く | 文章の力を大きく伸ばす |
| 自分の癖(時間切れ、一般論など)を知って直す | 見本の文章を覚えて、そのまま使う |
2週間で一番効くのは、材料の整理だと考えられます(推測)。論文で書けなくなる原因の多くは、書く力より、書く中身がないことにあるからです。材料があれば、テーマが多少違っても、組み合わせて書けます。
逆に、2週間で文章の言い回しを磨こうとしても、目に見える差にはなりにくいところです。言い回しは、短い文で書く、文体をそろえる、の2点だけを守れば足ります。残りの時間は、材料と、時間を計って書く練習に回します。
最初の3日:材料集め
最初の3日は、書かずに材料を集めます。
| 日 | やること | 時間の目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | 試験の条件を確かめる(時間、字数、テーマの出され方、手書きかパソコンか) | 30分 |
| 2日目 | ここ1年の職場の出来事を10個書き出す。数字や場面も添える | 1時間 |
| 3日目 | 10個を、よく出るテーマ(人材育成、業務改善、働き方、コンプライアンスなど)に振り分ける | 1時間 |
2日目の書き出しでは、数字を1つずつ添えます。「残業が多い」ではなく、「月末の週は1人あたり10時間ほど残業が増える」のような形です。正確な数字がなければ、おおよその値でかまいません。
3日目の振り分けで、1つの材料が複数のテーマに使えることに気づくはずです。たとえば「手順が人によって違う」という材料は、人材育成にも業務改善にもコンプライアンスにも使えます。
10個が出てこないときは、手帳や予定表、仕事の記録をさかのぼります。思い出すより、記録を見るほうが速く、数字も一緒に拾えます。材料をカードにして問題・課題・解決策の対応表にまとめる方法は、昇任・昇格論文は「書く前」で決まるで順を追って扱っています。
練習の設問は自分で作る
4日目からの練習には設問が要ります。市販の問題集を探す時間がなければ、自分で作れば足ります。次の3つの組み合わせで、何本でも作れます。
| 組み合わせる部品 | 例 |
|---|---|
| テーマの言葉 | 人材育成、業務改善、働き方、情報の管理、職場の連携 |
| 立場 | 受ける役職の名前(主任として、係長として、など) |
| 問われ方 | 「課題と取組を述べよ」「あなたの考えと実践を述べよ」 |
テーマの言葉を1つ、問われ方を1つ選ぶと、1本の設問になります。同じ材料で、問われ方だけを変えた設問を2本作り、構成メモを比べる練習も効きます。問われ方が変わると、どの段落に何を置くかが変わることが分かります。
次の1週間:時間を計って書く
4日目から10日目は、書く練習をします。
| 日 | やること |
|---|---|
| 4日目 | 設問を1つ決め、構成メモだけを10分で作る。3本作る |
| 5日目(週末) | 本番と同じ時間で1本書く。各段落を書き終えた時刻をメモする |
| 6日目 | 5日目の論文を見直し、直し点を3つ書き出す |
| 7日目 | 構成メモだけを3本作る(別のテーマで) |
| 8日目 | 本番と同じ時間で2本目を書く |
| 9日目 | 2本目を見直す。直し点が1本目と同じかを確かめる |
| 10日目 | 構成メモを3本作る |
構成メモだけの練習は、時間が短くて済み、本数をこなせます。書く練習は、本番と同じ時間・方法で行うことが大切です。手書きの試験なら、手書きで練習します。
5日目に書いた1本目は、できれば6日目までに誰かに読んでもらいます。2週間しかないので、意見をもらうのが遅れると、直す機会が1回減ります。上司や同僚に頼みにくいときの選択肢は、上司に練習を頼みにくいときの、昇格試験の準備の仕方で挙げています。
6日目の見直しのしかた
1本目の直し点を書き出すときは、次の3つに分けます。
- 中身:職場の事実が足りない、解決策が問題と対応していない
- 筋:段落の順番や、段落どうしのつながり
- 表記:文体の混ざり、誤字、用語のばらつき
2週間で直しやすいのは、筋と表記です。中身の直し点は、材料の一覧に戻って事実を足します。3つに分けておくと、8日目に書く2本目で、どこを意識すればよいかがはっきりします。
最後の数日:見直しと型の確認
11日目から13日目は、新しいことを増やさず、仕上げに使います。
| 日 | やること |
|---|---|
| 11日目(週末) | 本番と同じ時間で3本目を書く。前の2本の直し点が直っているかを見る |
| 12日目 | 3本の論文と構成メモを並べ、使えた材料と使えなかった材料を分ける |
| 13日目 | 時間配分と見直しの順番を、紙1枚にまとめる |
13日目にまとめる紙には、次のことを書きます。
- 時間配分(構成メモ、執筆、見直しの時刻)
- 自分の癖と、その直し方(例:前半に書きすぎる → 現状の段落は全体の3割まで)
- 使える材料の一覧(1行ずつ)
この紙は、試験の前日と当日の朝に見返すためのものです。時間配分の目安は試験時間内に論文を書き切るで、見直しの順番は論文の見直しチェックリストで説明しています。
前日にすること
前日は、新しく書く練習はしません。疲れが残ると、当日の集中に響きます。
- 13日目にまとめた紙を読む
- 材料の一覧を見て、数字を思い出せるかを確かめる
- 持ち物(筆記用具、時計、受験票など)をそろえる
- 早めに寝る
前日に見本の文章を読み込むのは避けます。見本の言い回しが頭に残ると、自分の材料で書くときに、借り物の言葉が混ざりやすくなります。
当日の朝は、13日目の紙を一度読むだけにします。会場に着いてからは、時間配分の時刻を問題用紙の余白に書くところから始めると、落ち着いて構成メモに入れます。
2週間でよくある失敗
短い期間の準備では、次のような失敗が起きやすくなります。
- 書かずに読むだけで終わる:対策の本や記事を読むと準備した気になりますが、書く練習をしないと時間配分は身につきません
- テーマを広げすぎる:あらゆるテーマに備えようとして、材料が浅くなります。よく出るテーマを3〜4つに絞ります
- 1本を完璧にしようとする:1本を何度も書き直すより、別の設問で本数をこなすほうが、当日の対応力がつきます
予定どおりに進まない日があっても、取り戻そうと詰め込まないことです。抜けた日の分は、構成メモの本数を減らすなどで調整します。時間を計って書く3本だけは、減らさずに残します。
平日の30分の使い方
平日に取れる時間が30分ほどなら、次のように分けると、1日の中で区切りがつきます。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 最初の5分 | 前の日の直し点を読み返す |
| 次の20分 | その日の予定(構成メモ、見直しなど)を進める |
| 最後の5分 | その日に気づいたことを1行で記録する |
通勤の時間には、材料の一覧を読み返し、数字を思い出す練習ができます。書く練習は、机に向かえる時間に回します。
30分では1本を書き切れないので、本番と同じ時間で書く練習は週末に置きます。平日は、メモと見直しのような短く区切れる作業に絞ると、2週間の予定が崩れにくくなります。
事前に提出する形の場合
論文を事前に提出する形なら、2週間の使い方が変わります。会場で時間を計って書く練習より、1本を仕上げることが中心になります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1〜3日目 | 材料集めと、提出の条件(字数、様式、締切)の確認 |
| 4〜7日目 | 骨組みを作り、1本目を書く |
| 8〜11日目 | 人に読んでもらい、中身の直しを入れる |
| 12〜14日目 | 表記の見直しと、面接で聞かれたときの答えの準備 |
事前に出す論文は、面接で中身を聞かれることがあります。最後の数日で、各段落について「具体的には」と聞かれたときの答えを1行ずつ用意しておきます。
架空の例:2週間の記録
化学メーカーの工場で係長の試験を受けるMさんは、2週間の練習で、次のような記録を残しました。
| 本 | 時間の使い方 | 見つけた直し点 |
|---|---|---|
| 1本目 | 構成メモ5分、時間切れで結論が2行 | メモが短すぎて、書きながら考えていた |
| 2本目 | 構成メモ12分、結論まで書けた | 解決策が問題と1つずれていた |
| 3本目 | 構成メモ12分、見直し8分 | 文体の混ざりが1か所だけ |
1本目から3本目で、直し点が小さくなっています。Mさんは1本目の後、構成メモに段落ごとの数字を書き込むようにし、2本目の後は、解決策ごとに「どの問題への手か」を矢印で結ぶようにしました。
直し点を1つずつ次の1本で試し、効いたかどうかを記録する。2週間でも、この回し方なら、自分の癖を1つずつ直せます。
書いたものを見てもらうには
2週間の練習で一番足りなくなりやすいのは、書いたものへの意見です。頼める相手がいても、読んでもらって返事が来るまでに数日かかると、3本書く予定の中で直す機会が減ってしまいます。
昇格パスの論文の演習では、区分(民間・自治体・教員)を選んで練習できます。材料の整理、骨組み、時間を計った本番、観点ごとの採点、書き直しの比較までを一人で進められます。採点では、本文の該当箇所を根拠として示します。
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