係長は、多くの職場で、初めて部下を持ち、係の成果に責任を持つ役職です。そのため係長の面接では、担当者としての実績より、係をまとめる人としての考え方が問われやすくなります。

この記事では、係長の面接でよく聞かれる質問と、どの質問にも「係長の役割」に引き寄せて答える方法を説明します。民間の会社の昇格面接と、公務員の係長の昇任面接の両方を扱います。

※この記事に出てくる人物と例は、説明のために作った架空のものです。特定の会社や自治体の面接の中身には触れません。

係長の面接で確かめられること

係長の面接の質問は、形は違っても、その人が係を任せられる人かどうかを確かめる方向にそろっていると考えられます(推測)。答えを準備するときは、次の4つの役目を思い浮かべると、話の向きが定まります。

  • 回す:自分の担当だけでなく、係全体の仕事の流れを見る
  • 任せて育てる:部下や後輩に仕事を渡し、できるようになるまで支える
  • つなぐ:課長の方針を係に伝え、係の声を課長に届ける
  • 決める:困った場面で抱え込まず、係の範囲で判断し、超える分は上に相談する

主任と係長で役割がどう変わるかは、係長昇格試験の準備の比較表で確かめられます。

よく聞かれる質問

係長の面接で出やすい質問は、おおむね次の系統に分けて準備できます。

系統 質問の例
実績 これまでの仕事で、成果を上げたことは何ですか
抱負 係長になったら、何に取り組みたいですか
係の課題 今の係の課題は何だと考えますか
部下の育成 部下をどのように育てたいですか
仮定の場面 部下が指示に従わなかったら、どうしますか
上司との関係 課長の方針に納得できないとき、どうしますか
自分について あなたの強みと弱みは何ですか

全部の質問に、答えを文章で用意する必要はありません。それぞれの系統で、話す材料を1つずつ決めておきます。

係長の役割に引き寄せる答え方

どの質問でも、答えの最後を「係長として、どうするか」で締めると、立場に合った答えになります。

実績の質問の場合

  • 弱い答え:「担当の業務で、処理の件数を前の年より2割増やしました」
  • 引き寄せた答え:「担当の業務で、処理の件数を前の年より2割増やしました。手順を見直した結果で、その手順は係の全員で使う形にしました。係長になったら、こうした工夫を一人のものにせず、係の仕組みにするつもりです」

抱負の質問の場合

  • 弱い答え:「係の皆が働きやすい職場にしたいです」
  • 引き寄せた答え:「最初の半年で、係の仕事の偏りを一覧にします。そのうえで、担当の入れ替えを少しずつ進め、誰かが休んでも回る形にします」

抱負は、気持ちの言葉で終わらせず、最初の1年で何をするかを、順番と期間で言えるようにします。

強みと弱みの質問の場合

  • 弱みは、係長の仕事で困りそうな点と、その手当てを一緒に話します。「仕事を人に任せるのが苦手で、自分で抱え込みがちです。今は、後輩に頼むときに期限と確認の日を決めることで、少しずつ任せるようにしています」

実績の話は、状況、役割、行動、結果、学びの順で組み立てます。答えの組み立ての全体は、昇格面接でよく聞かれることで説明しています。

部下対応の場面を問われたとき

係長の面接では、部下への対応を仮定で問う質問がよく出ます。答えの骨組みは、次の順です。

  1. 事実を確かめる
  2. 本人の話を聞く
  3. 判断の基準を示し、伝えるべきことを伝える
  4. 具体的な次の一歩を決める
  5. 課長に報告・相談する
  6. 仕組みを見直し、繰り返さない手を打つ

たとえば「部下が指示に従わなかったら」と聞かれたら、「まず、指示が伝わっていたか、従えない事情があったかを本人に聞きます」から始めます。最初から「厳しく注意します」と答えると、事情を聞かない人に見えやすいところです。

5の「課長に報告・相談する」を忘れずに入れることも大切です。係長は、一人で全部を決める立場ではなく、上と下をつなぐ立場だからです。

上司との関係を問われたとき

「課長の方針に納得できないとき、どうしますか」という質問は、答え方で印象が大きく分かれます。架空の例で比べます。

  • 「納得できなければ、従いません」:係の代表として動けるかが心配に見える
  • 「納得できなくても、黙って従います」:係の声を上に届ける役目が見えない
  • 「まず方針の理由を課長に確かめます。係の事情で難しい点があれば、根拠を添えて意見を伝えます。決まった後は、係として実行し、係員にも理由を説明します」:意見を言うことと、決まったことを進めることの両方がある

係長は、課長の方針を係に伝える立場でもあります。自分が納得した理由を係員に説明できるか、まで触れられると、つなぐ役目が伝わります。

公務員の係長面接で加わる問い

公務員の係長の昇任面接では、民間の質問に加えて、次のような問いが考えられます(推測)。

問いの例 答えるときの軸
住民からの苦情に、係としてどう対応しますか 公平さ、決まりに沿った説明、係での情報の共有
法令や決まりと、住民の要望がぶつかったら 決まりは守ったうえで、できることを探して説明する
他の課や部署と意見が合わないとき 目的を確かめ、課長を通して調整する
最近の行政の課題で、関心のあることは 自分の職場の仕事とつなげて話す

公務員の面接では、全体の奉仕者としての立場や、公平さを意識した答えが求められやすいはずです。特定の住民への特別扱いを約束するような答えは避けます。

公務員の昇任試験の面接の全体は、昇任試験の面接で説明しています。

係長の面接でつまずきやすい点

係長の面接では、主任として評価されてきた強みが、そのままでは伝わりにくい場面があります。

  • 実績を一人の頑張りで語る:成果は伝わっても、係をまとめる姿が見えません。周りがどう動いたかを一言足します。
  • 仮定の質問に、すぐ結論を言う:「注意します」「異動させます」と先に言うと、事情を聞かない人に見えます。事実の確認から話し始めます。
  • 課長への相談が抜ける:係で決めること、課長に上げることの線を、答えの中で示します。
  • 公務員の面接で、決まりの説明だけをする:決まりは守ったうえで、住民の事情にどこまで寄り添えるかを添えます。

練習の録音を聞き返すときに、この4つに当てはまる答えがないかを確かめると、直す場所が絞れます。

練習の仕方

係長の面接の練習は、次の順に進めます。

  1. 材料を決める:質問の系統ごとに、話す材料を1つずつ、表にまとめる
  2. 声に出す:1つの質問に、1分で答える練習を3回。毎回、言い回しが少し違ってもかまいません
  3. 深掘りを考える:答えに対して、「それはなぜですか」「ほかには」と自分で問いを3つ作り、答える
  4. 役割に引き寄せたかを見る:どの答えも、最後に「係長として」の一言が入っているかを確かめる

答えを丸暗記すると、深掘りの質問で言葉が出にくくなります。覚えるのは、材料と話す順番だけにします。

声に出す練習は、スマートフォンで録音して聞き直すと、話の長さや言葉の癖に気づきやすくなります。1つの答えが1分を大きく超えていたら、状況の説明を短くし、自分の行動の部分を残します。

架空の例:材料の表

市役所の福祉の部署で主任を務めるCさんは、係長の昇任面接に向けて、次のような表を作りました。

系統 Cさんの材料
実績 申請の受付の手順を一覧にし、受付の誤りを月8件から2件に減らした
抱負 係の仕事が特定の人に偏らないよう、担当を半年ごとに少しずつ入れ替える
係の課題 制度の変更のたびに、説明の仕方が人によってばらつく
部下の育成 新しく来た人には、最初の1か月、週に1回15分話を聞く
仮定の場面 住民の苦情は、まず話を聞き、決まりの説明は係で同じ言い方にそろえる

表の行ごとに、1分で話せるように練習します。

Cさんの表は、どの行も「係長として何をするか」で終わっています。実績の行も、手順を一覧にしたことが係の誤りを減らした話になっていて、個人の頑張りではなく係の仕組みの話として語れます。表を作り終えたら、各行の最後の言葉が、自分一人の行動で終わっていないかを確かめます。

一人で練習するときの限界

材料の表は一人でも作れます。ただ、面接官の深掘りにどう答えるかは、相手がいないと確かめにくいものです。自分で作った問いには、答えやすいものが並びがちだからです。

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