具体性が足りないと言われて例を足す。役割が見えないと言われて説明を足す。何度も直した結果、字数は増えたのに主張が見えにくくなることがあります。
指摘への対応は、追加だけではありません。古い説明を置き換える、焦点から外れた部分を削る、順序を変える方法もあります。この記事は編集部が提案する練習法です。例は架空で、提出用の本文を代わりに修正するものではありません。
指摘と、直す操作を分ける
「具体的に」という指摘を受けても、具体例を増やす必要があるとは限りません。すでにある例で自分の行動が曖昧なら、その部分を書き直す方法があります。原因と施策がつながっていないなら、別の施策を足しても解決しないかもしれません。
まず、指摘が原稿のどの部分に向けられたかを確かめます。そのうえで、何が読める状態になれば修正できたと言えるかを決めます。評価を受けるたびに原稿全体を変えると、何が改善につながったかも追いにくくなります。
| 指摘の例 | 先に見ること | 選べる修正 |
|---|---|---|
| 事実が曖昧 | 事実の材料が手元にあるか | 曖昧な説明を置き換える |
| 役割が見えない | 主語と自分の行動 | 自分と組織の行動を分ける |
| 施策が浮いている | 原因との関係 | 無関係な施策を外す |
| 同じ話が続く | 各部分の役割 | 重複を削る・まとめる |
| 結論が伝わらない | 途中で主張が変わっていないか | 中心の判断を整理する |
表の修正をそのまま選ぶのではなく、自分の原稿で原因を確かめてから使います。
架空例:研修の施策に説明を足し続ける
架空の職場の育成について書き、研修を行う案を挙げたとします。「現場とのつながりが弱い」という指摘を受けて、研修の重要性を説明する文を追加しても、現場で何が変わるかは明らかになりません。
次に、研修後の仕事の任せ方を考えたなら、それは新しい行動の材料です。ただし、以前書いた「研修をすれば解決する」という説明が残っていると、原稿の前後で考えが違います。追加した文だけでなく、置き換えるべき古い説明を探す必要があります。
書き直しのメモには、指摘、該当箇所、修正の目的、残す材料、外す材料を分けて残します。本文そのものを先に増やすのではなく、どの問題を直すかを整理するためです。
この例では研修を推奨しているわけではありません。どの施策でも、考えが変わったのに古い説明を残すと、文章が長くなるだけでなく矛盾も生まれることがあります。
修正の順番を決める手順
- 設問へのずれなど、全体に影響する指摘を先に確認する。
- 今回直す論点を絞り、修正前の原稿を残す。
- 追加・置換・削除・移動のどれが必要か考える。
- 修正した部分と、影響を受ける前後を読み直す。
- 目的どおり直ったかを確かめてから、別の指摘へ進む。
設問への答えが変わるなら、語尾の調整を先に丁寧に行っても、後で書き直す可能性があります。大きな判断から整え、最後に表記を見る順番は、修正の行き戻りを整理するための提案です。
練習期間の組み方は、試験までの論文練習の回し方も参考になります。この文章は、一度書いた原稿を評価後に修正する場面に絞っています。
指摘を全部受け入れる前に確かめる
評価は、原稿を読み直す材料です。指摘された箇所が実際に存在するか、設問の条件に合うかを確認します。特にAIによる評価は、読み違いや不適切な指摘が含まれる可能性があるため、根拠と自分の文章を照合します。
「もっと広い視点を」と言われても、指定された字数や立場を超えて話を広げればよいとは限りません。どの関係者への影響が抜けているのか、何の判断が狭いのかを具体的に見ます。曖昧な指摘には、曖昧な追加で応じないようにします。
別の指摘と矛盾して見える場合は、対象箇所が同じかを確かめます。前半は短く、後半は具体化が必要ということもあります。原稿全体への指示だと決めつけず、どこをどう変えるかを分けます。
修正記録を、評価の点数だけにしない
点数が上がったかだけを追うと、どの変更が文章を読みやすくしたかが残りません。練習の記録には、前の原稿で何が不足し、今回どこを変えたかを短く書きます。点数が変わらなくても、設問への答えが明確になったかは自分で確かめられる場合があります。
複数の箇所を一度に変えると、後から戻したいときにも迷います。原稿を残しておけば、変更後に別の問題が生じた際、必要な部分だけ戻すことができます。過去の文章を全部捨てず、修正の目的と対応させて扱います。
同じ指摘が続く場合は、説明をさらに足す前に、直している場所が違わないかを見ます。原因の説明が足りないのに施策の細部を増やしても、同じ指摘が残ることがあります。評価の言葉と実際の根拠箇所を照合し、今回の修正で何を変えようとしているかを確認します。
修正を終えたあとに全文を読むのは、直した箇所以外への影響を見るためです。主張を変更したのに結論だけ残った、具体例を削ったのにそれを指す表現が残った、といったずれを最後に確かめます。
直した理由を説明できない変更が続くときは、一度手を止めて原稿の目的へ戻ります。語感の好みで変えた箇所と、問いへの答えを明確にするための変更を分けると、残りの練習で優先したい点を選びやすくなります。
修正前の問題が消えたかを確かめる
修正後の文章だけを読むと、表現が新しくなったことで直った気になる場合があります。最初の指摘へ戻り、その不足がどの記述で補われたかを示します。場所を示せないなら、周辺だけを書き換えていないかを考えます。
架空の研修の例では、研修名や実施時期を細かくしても、現場で何を変えるかが見えなければ元の問題は残ります。追加した情報の具体性と、指摘への対応を分けます。
また、一つの問題を直して別の問題が生じることもあります。役割を明示した結果、実際には持たない権限まで引き受けていないかなど、変更した主張の条件も読み直します。
修正の終了条件を持つ
何度でも直せる練習では、細かな表現を変え続けることがあります。今回の修正で何を確かめるかを決めておけば、その点が改善したら次の練習へ進む判断ができます。完全な文章を作ることだけを目的にしないようにします。
修正前後を比べ、文字数の増減ではなく、問いへの答え、根拠、自分の役割が読み取れるようになったかを見ます。追加した文が新しい役割を持っていなければ、残す必要があるかを再検討します。