教頭試験(教頭選考)では、論文とあわせて面接が行われることが多いと考えられます(推測)。自治体によっては、面接の比重がかなり大きく置かれています。
この記事では、教頭の面接で問われやすい4つの問いについて、評価する側が確かめていることと、答えの組み立て方を説明します。過去の出題は扱いません。
※この記事に出てくる人物と学校は、説明のために作った架空のものです。
教頭の面接で確かめられること
まず、面接の重みを公開資料で確かめます。
| 自治体(資料の時期) | 教頭の選考での面接 |
|---|---|
| 熊本市(令和8年6月の報告。令和9年度の採用に向けた試験) | 二次試験は論文(60分、50点)と個人面接(150点) |
| 島根県(令和7年6月の会議資料。令和8年度に向けた試験) | 一次で論文記述(90分)と面接(15分)、二次で面接(20分)を2回 |
熊本市の例では、二次の配点の4分の3が個人面接です。島根県の例では、一次と二次で面接が3回あります。面接の回数や配点は自治体ごとに決め方が違うので、この2つは「面接が重く置かれている例」として読んでください。
島根県が管理職に求める資質能力として示しているのは、高い教育理念と広い識見、学校経営、学校管理・運営、人材育成、外部との連携・折衝の5つです。面接では、こうした資質が受験者の話の中に表れているかを見ていると考えられます(推測)。
教諭や主幹教諭の立場からの答えでは、一段低く聞こえやすくなります。教頭として、校長を支え、教職員をまとめ、学校の外とつながる立場で答えることが求められます。
志望の理由の問い
「なぜ教頭を志望するのですか」は、どの形式の面接でも聞かれるものとして準備しておきます。
確かめていること:教頭の役割を理解しているか。自分の経験と、教頭としてしたいことがつながっているか。
答えの組み立て:
- これまでの経験で、学校全体に関わった事実を1つ(校務分掌、学年のまとめ役など)
- その経験から見えた、学校の課題を1つ
- 教頭としてなら、その課題にどう関われるかを1つ
「子どもたちのために」は大切な思いですが、それだけでは教諭のままでもできることに聞こえます。教頭だからこそできることを言葉にします。
学校経営の問い
「あなたの学校の課題は何ですか」「教頭として、校長の経営方針をどう実現しますか」と問われます。
確かめていること:学校全体を見る目があるか。校長の方針を、具体的な動きに置きかえられるか。
課題は1つに絞り、学校の事実で示します。打ち手は、教頭として動かせる範囲で考えます。たとえば、会議の進め方、校務分掌の割り振り、若手の育成の仕組み、保護者や地域との連絡の流れなどです。
「校長先生の方針に従います」で終わる答えは、教頭の役割を受け身に見せます。方針を受けて、教職員にどう伝え、どう進み具合を確かめるかまで話します。
場面指導(保護者・教職員対応)の問い
「保護者から強い苦情の電話が入ったら」「若手の教員が保護者対応で困っていたら」のように、場面を示して対応を問われることがあります。
答えの骨組み:
- まず事実を確かめる(担任や関係者から話を聞く)
- 相手の話を受け止める(さえぎらない、すぐに否定しない)
- 判断の基準を示す(子どもの安全と学びを第一に)
- 具体的に動く(誰が、いつ、どう対応するか)
- 校長に報告し、必要なら教育委員会や関係機関とつなぐ
- 校内の連絡の流れや役割分担を見直し、次に備える
場面指導では、教頭が一人で抱え込む答えも、担任に任せきりにする答えも、評価されにくいと考えられます(推測)。誰を支え、誰とつなぐかを話します。
子どもの安全、いじめ、虐待の疑いなどに関わる場面では、迷わず見過ごさない立場を示し、定められた手順と報告の流れに沿うことを話します。
場面指導の答えを直す例
「授業中に教室を飛び出す子どもがいて、担任が困っています。教頭としてどうしますか」と問われた場面で考えます。
よくある答え:「まず私が教室に行き、子どもを落ち着かせます。担任の先生には、焦らず対応するよう助言します」
評価する側からの見え方(推測):教頭が自分で動く意欲は伝わります。ただ、次の日も同じことが起きたらどうするのかが見えません。担任への助言も、気持ちの話にとどまっています。
直し方:その場の安全の確保は教頭が引き受けたうえで、空き時間の教員が交代で見守る体制を校長と相談して決める、と続けます。担任とは、子どもが飛び出す前の様子を一緒に振り返る時間を取ります。一人の対応を、学校の対応に変える流れを話すと、教頭の答えになります。
教育課題の問い
「働き方改革について、教頭としてどう取り組みますか」「不登校の子どもへの対応をどう考えますか」のように、教育の課題について問われます。
確かめていること:課題を自分の学校の事実に引きつけて考えられるか。
国の方針や一般論を長く述べる必要はありません。課題について自分の自治体の方針を確かめたうえで、「本校では、こういう事実がある。教頭としてこう動く」と、学校の話に置きかえます。
架空の例:中学校の学年主任
中学校で学年主任をしているHさん(47歳)は、模擬面接で「教頭として何をしたいですか」と聞かれ、次のように答えました。
先生方が働きやすい学校にしたいです。
気持ちは伝わりますが、何をする人かが見えません。Hさんは材料を並べ直しました。
- 事実:学年の会議が毎週長引き、若手が授業準備の時間を取れていない
- 自分がしたこと:学年会の議題を前日に配り、時間を半分にした
- 教頭として:同じやり方を職員会議と各部会に広げ、校長と相談して会議の時間の目安を決める
回答の組み立てと練習
- 材料カードを作る:志望の理由、学校の課題、場面指導の経験、教育課題について、それぞれ事実と数字を1行
- 1分で話す練習:結論、理由、具体例の順
- 深掘りを想定する:「具体的には」「校長と意見が違ったら」「教職員が動かなかったら」
- 声に出して確かめる:書いた答えは、口に出すと長くなりがち
3の深掘りのうち、「校長と意見が違ったら」は答えにくい問いの一つです。校長に従うだけでも、自分の意見を通すだけでも、教頭の答えになりません。まず校長の判断の理由を聞いて確かめ、自分の考えは根拠とともに伝え、決まった後は教職員に向けて方針として一つにして伝える、という順で話します。
論文を含めた選考全体の準備は、教頭・副校長選考の論文と面接で順を追って説明しています。
面接の前日と当日
前日は、新しい答えを作るより、手元の材料を確かめる時間にします。
- 材料カードの事実と数字(学校の児童生徒数、学級数、取り組みの期間など)
- 自分の自治体の教育の方針や計画のうち、自分の答えに関わる部分
- 志望の理由の、最初の一文
当日は、面接の前に、教頭として答える立場を一度思い出します。教諭としての熱意を語るより、校長を支え、教職員をまとめる立場で話す、という一点です。
複数回の面接がある形式では、前の面接の出来を引きずらないようにします。面接ごとに面接官も問いも変わることが多いので、終わった面接は終わったものとして切り替えます。
一人で練習するときの限界
材料カードは一人でも作れます。けれども、答えのどこが浅いかは、「具体的には」「それで教職員は動きますか」と重ねて聞かれて初めて分かることが多いものです。校内で模擬面接を頼める相手は、そう多くないかもしれません。
昇格パスの無料体験では、登録の後に、昇格面接の3問(実績・抱負・マネジメント)を文字で1回ずつ練習できます。答えると「具体的には」などの深掘りの質問が続き、終わると評価票で、観点ごとの評価と根拠になった発言を確かめられます。
個人で申し込んで使え、実名や勤務先の登録は要りません。会社に知らせることもありません(ログインにはメールアドレスか LINE を使います)。学校向けの問いではありませんが、深掘りに答える感覚をつかむのに使えます。
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