以前は昇進したかったのに、今は理由が違う。反対に、気が進まなかったのに、取り組みたい仕事が見えてきた。動機が変わったときは、昔の志望動機を守るより、変化のきっかけを整理してみます。
この記事は編集部が提案する振り返りです。動機の良し悪しを採点するものではありません。以下の人物と会話は、説明のために作った架空の例です。
過去の言葉を、今の自分の義務にしない
入社時に「管理職を目指します」と言ったから、ずっと同じ気持ちでいなければならないとは限りません。経験した仕事や、生活で大切にしたいことが変われば、役割の捉え方も変わります。
一方で、動機が変わった理由をすべて周りのせいにすると、自分が何を選びたいかが見えません。何が起きて、それをどう受け止め、今は何を大切にしているかを分けます。
この作業は、面接で印象のよい物語を作るためではありません。話す前に、自分の考えのつながりを確かめるためです。迷いが残る部分は、無理に結論にしなくてもかまいません。
変化を時系列にする
| 時点 | その頃の理由 | 変化のきっかけ | 今にも残るもの |
|---|---|---|---|
| 以前 | 専門の仕事を広げたい | 後輩の相談を担当した | 専門を深めたい気持ち |
| 途中 | 自分で全部進めたい | 不在時に仕事が止まった | 仕事の質への関心 |
| 現在 | 人が進められる状態を作りたい | 引継ぎの必要に気づいた | 専門と育成を両立したい |
これは架空の例です。必ず前向きに変わる表にする必要はありません。「以前は役職に関心があったが、今は専門を深めたい」という表でも使えます。変化した部分と、残っている部分を見つけるのが目的です。
架空の例:自分で解決することが好きだった人
IT部門の担当者は、難しい不具合を自分で解決することに手応えを感じていました。管理職になることには関心が薄く、専門の仕事を続けたいと話していました。
あるとき休暇中に判断が止まり、同僚から相談が集中しました。その後、判断の材料を共有する時間を作ると、自分以外の人が対応できる場面が増えました。本人は、解決するだけでなく、他の人が考えられる状態を作る仕事にも関心を持ちます。
この経験を話すなら、「考えが完全に変わりました」と大きくまとめなくてもかまいません。「専門を生かしたい気持ちは残っています。そのうえで、判断を共有する仕事を広げたい」と、連続している部分を説明できます。
実際に変わった範囲を越えて、すべてを組織のために考えるようになったと断言する必要はありません。深掘りに答えられる、経験の大きさで話します。
自分に向ける三つの問い
最初の問いは、「以前の理由のうち、今も自分に合っている部分は何か」です。全部を捨てるか守るかではなく、残る部分を探します。
次に、「変化に影響した具体的な場面は何か」を考えます。忙しくなった、考え方が変わった、というまとめではなく、その日に何が起きたかまで戻ります。
最後は、「次の役割で増やしたい行動は何か」です。自分が何を得たいかに加え、実際の仕事でどう関わりたいかを一つ置きます。役割が未確認なら、断定せず確認事項として残します。
面接で昔の発言を聞かれたら
過去に専門職を希望していたことを聞かれた場合、その発言をなかったことにする必要はありません。当時の考え、経験した出来事、現在の考えを短く区切って説明します。
聞き手を納得させようとして、過去の自分を否定しすぎないようにします。「何も分かっていませんでした」ではなく、「その頃は、自分の担当の範囲で考えていました」と、見えていた範囲を言葉にできます。
逆に、今も迷っているなら、熱意の強い言葉を足す前に、何が未確認なのかを整理します。引き受ける役割と、働き方の条件が見えれば判断が変わる場合もあります。動機の準備と、条件の確認を混ぜないようにします。
変化の理由が、生活の条件だった場合
仕事への関心だけでなく、生活で使える時間や担っている役割が変わり、昇進への考えが変わることもあります。それを仕事への意欲がないという一つの説明にまとめる必要はありません。
自分の整理では、望む仕事と、続けるための条件を分けます。面接で話す範囲は、質問との関係や、伝える必要がある条件に合わせて考えます。個人的な事情をすべて詳しく説明する義務があると決めつけないようにします。
条件が未確認なら、気持ちを先に確定させるより、職場に何を聞けばよいかを整理できます。動機が弱いから決められないのではなく、判断の情報が足りない可能性もあります。
今も変わっていない価値観を探す
以前は自分の技術を高めたいと思い、今は後輩が技術を使えるようにしたいと思っているなら、専門を大切にする点は続いているかもしれません。変化を断絶としてだけ描かず、残っている軸を探します。
反対に、残るものがすぐに見つからなくても、無理に一貫した物語を作らないようにします。経験して考えが変わったという説明でも、自分が確かめた場面があれば話せます。
整理した後は、昔の発言を聞かれた際に、当時の考えを一文で説明できるかを確認します。その後、変化を生んだ一場面と、現在の希望を分けて述べます。長い人生の物語にせず、質問に必要な変化だけを選びます。
現在の理由を短く確認する
今の理由を一文にしたら、その理由につながる経験を一つ指せるかを見ます。経験が出ない場合は、まだ希望の段階かもしれません。希望として述べ、実績のようには扱わないようにします。
過去と現在の理由が違っていても、説明できる変化があれば、無理に昔の言葉へ戻す必要はありません。面接で期待されそうな理由より、自分が確認した場面から考えます。
一文にできないほど迷いがあるなら、理由を完成させる前に、役割や働き方の未確認事項を一つ選びます。考えるための情報を増やす作業に戻れます。
今日書き直す一行
古い志望動機があれば、まずその横に「今も同じ」「今は違う」「まだ分からない」の印を付けてください。違う部分についてだけ、変化のきっかけを一場面書きます。
最後に、今の自分が増やしたい仕事を一つ書きます。完成した志望動機にするのはその後です。自分の言葉に戻すとは、気持ちを強く見せることではなく、経験と現在の考えのつながりを説明できるようにすることです。
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