教頭試験の結果が届き、不合格だった。学校では普段どおりに働かなければならず、気持ちの置き場に困る時期です。何年か続けて受けている人もいれば、初めての不合格で戸惑っている人もいるはずです。

この記事では、教頭試験に落ちた後、翌年に向けて何を見直すかを、時期に沿って説明します。合否の理由を言い当てることはできませんが、見当を付けて準備を変えることはできます。

※この記事に出てくる人物と学校は、説明のために作った架空のものです。

結果を受け止める最初の時期

結果が届いた直後は、無理に原因を探さなくてかまいません。最初の数週間は、次の2つだけをします。

  1. 覚えていることを書き残す:論文のテーマと、自分が書いた骨組み。面接で聞かれた質問と、自分の答えの要点。詰まった場面
  2. 休む:試験の準備で削っていた時間を、いったん元に戻す

記憶は、時間がたつと薄れます。気持ちが落ち着いてから振り返るためにも、書き残すことだけは早めにします。

「選考には決まった枠がある」「最初から決まっている」といった話を耳にすることがあるかもしれません。選考の仕組みは、自治体が公開している要項や案内で確かめるのが確かです。うわさで判断せず、自分で変えられる準備に目を向けます。

落ちた理由の見当の付け方

自治体によっては、希望すれば試験の点数を知らせる仕組みがあります。たとえば熊本市の資料では、申込のときに成績開示を希望した受験者に、合否の通知のときに点数を知らせるとしています。教頭等の選考では、一次は筆記試験の点数、二次は論文と個人面接の点数です。

また、同じ資料には、二次試験の合否の判定に一次試験の結果は加味しない、と書かれています。このように、どの段階で何が評価されるかは、自治体の要項に書かれていることがあります。

自分の自治体に開示の仕組みがあるか、どの段階で落ちたかを、まず確かめます。そのうえで、次の表で見当を付けます。

落ちた段階・低かったもの 見直しの中心
筆記試験 出題範囲のうち、点を落とした分野
論文 視点の高さ、学校の事実、方針と具体策のつながり
面接 教頭としての立場の答え、深掘りへの備え
分からない 論文と面接の両方を、評価の観点で見直す

点数や講評が手に入らない自治体では、手元に残るのは自分のメモだけです。その場合は、論文と面接のメモを、選考の要項に書かれた観点や、求められる資質の一覧と並べて読み直します。民間の昇格試験も含めた推し量り方の手順は、昇格試験に落ちた理由を、自分で推し量る方法で説明しています。

論文の見直し

書き残した骨組みを、次の問いで見直します。

  • 学校の事実と数字が入っていたか、それとも一般論だったか
  • 教諭の立場でなく、教頭として学校全体を動かす話になっていたか
  • 課題と具体策が、一対一で対応していたか
  • 具体策の主語が、教頭として動かせる範囲だったか
  • 時間内に、見直しまで終えられたか

多くの場合、直す点は1つか2つに絞れます。全部を直そうとせず、一番大きな弱点から手を付けます。一般論の直し方は論文で「一般論」と言われたときで説明しました。

面接の見直し

面接で詰まった質問と、そのときの答えを書き出し、次の問いで見直します。

  • 教頭として、校長を支え、教職員をまとめる立場で答えていたか
  • 場面指導で、事実の確認、関係者の話、校長への報告、再発防止まで話せたか
  • 「具体的には」と聞かれたときに、学校の事実で答えられたか
  • 答えが長すぎて、深掘りの時間を奪っていなかったか

面接は、論文と違って答えが残りません。詰まった場面を思い出すときは、質問の言葉より、自分が何を言おうとして言えなかったかを書き出すほうが、見直しに使えます。たとえば「若手の育て方を聞かれ、自分の学年の話しかできなかった」のような書き方です。

教頭の面接で問われやすい問いと答えの組み立ては、教頭試験の面接質問で確かめられます。

日々の校務で材料を作る

翌年の試験までの1年は、論文と面接の材料を作る期間でもあります。普段の校務の中で、教頭の立場に近い経験を、意識して積みます。

  • 学校全体に関わる役割を引き受ける:行事の見直し、校内研修の企画、分掌の調整
  • 若手を支える:授業や保護者対応の相談に乗り、任せて振り返る
  • 記録を残す:何を変え、どう変わったかを、事実と数字で
  • 教頭の仕事を見る:今の教頭が、どんな判断をしているかを観察する

経験したことは、その月のうちに、事実、自分がしたこと、変化を1行ずつ書いておきます。試験の前に思い出そうとすると、細かな事実が抜け落ちます。1年分のメモがたまると、論文の課題も、面接で話す実績も、その中から選べるようになります。

翌年の準備の計画

時期 やること
結果の後〜1か月 覚えていることを書き残す。休む
2〜3か月目 開示や講評を確かめ、見直しの中心を1〜2つに決める
4〜9か月目 日々の校務で材料を作る。月に1回、材料を書き足す
10か月目〜試験 時間を計って論文を書く。面接を声に出して練習する

1年の使い方の考え方は、不合格の後、次の試験までの1年の使い方でも説明しています。

気持ちが続かないとき

不合格の後、翌年まで準備を続けるのは、気持ちの面でも負担があります。気持ちが切れそうなときは、次のことを試してみます。

  • 準備の量を一時的に減らす。月に1回、材料を書き足すだけにする
  • 準備の中身を、日々の校務と重ねる。校務の記録が、そのまま材料になる
  • 受けるかどうかを、改めて考えてもよいと自分に許す

翌年に受けないと決めることも、一つの判断です。続けると決めたなら、準備を生活の中に無理なく組み込むことを優先します。

校長や同僚との関わり方

不合格の後、校長から声をかけられることもあるでしょう。そのときは、結果の報告と、翌年も受けるかどうかの今の考えを、短く伝えれば足ります。理由を細かく説明する必要はありません。

翌年も受けると決めたなら、校長に「学校全体に関わる仕事を、何か任せてもらえませんか」と相談してみるのも一つの方法です。管理職の視点で動く経験は、論文と面接の両方の材料になります。

同僚から結果を聞かれたときは、話したい範囲だけを話せばかまいません。気を遣わせたくない場合は、「また来年考えます」の一言で切り上げてもよいはずです。

架空の例:2回目の不合格の後

中学校で教務主任をしているUさん(49歳)は、2回目の教頭試験も不合格でした。書き残したメモを読み直すと、論文の具体策がどれも「教職員の共通理解を図る」で終わっていました。

Uさんは、翌年の準備の中心を「具体策を、誰が何をするかで書く」の1点に絞りました。そのために、校内で時間割の見直しの担当を引き受け、学年主任と何を決め、どう進めたかを毎月記録しました。この記録が、翌年の論文の具体策の材料になりました。

前の年の書き方:「全教職員の共通理解を図り、組織的に取り組む」

評価する側からの見え方(推測):方向は正しくても、教頭が何を決め、誰が動くのかが分かりません。2回続けて同じ書き方だったため、伸びしろが見えにくかった可能性もあります。

翌年の書き方の方向:「共通理解」の中身を、どの会議で、何を決め、誰が確かめるかに分けて書く。Uさんは、時間割の見直しで実際に行った手順を、そのまま具体策の骨組みに使いました。

一人で見直すときの限界

落ちた後の見直しは、一人で行うと、前の年と同じ書き方を繰り返しやすいものです。自分の文章の癖は、自分では当たり前に見えてしまいます。校内で読んでもらうにも、不合格の後は頼みづらいと感じる人もいるでしょう。

昇格パスの論文の演習には、教員(教頭・校長)の区分があります。材料の整理、骨組み、時間を計った本番、観点ごとの採点、書き直しの比較までを一人で進められます。採点では、本文の該当箇所を根拠として示します。

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