介護施設や事業所では、リーダーや主任になるときに、面接や小論文の試験を行うところがあります。利用者への介護の経験は豊富でも、職員をまとめる立場の言葉で話したり書いたりするのは、別の準備が要ります。

この記事では、リーダーに求められる役割を手がかりに、面接と小論文の材料を集める方法を説明します。

この記事は、職場の運営と昇格試験の準備について書いたものです。介護や医療の判断(どうケアするか、体の状態をどう見るか)は扱いません。

※この記事に出てくる施設、人物、例は、説明のために作った架空のものです。

介護職の昇格試験でよくある形式

リーダーや主任をどう選ぶかは、法人や施設がそれぞれ決めています。試験の形をとる職場では、次のような要素が考えられます(推測)。

  • 施設長や法人の管理者との面接
  • 小論文や作文(職員の育成、事故の防止、利用者へのサービスなど)
  • これまでの取り組みと、リーダーとしての目標をまとめた書類

試験というより、上司との面談の形で行われるところもあります。どの形でも、自分がよい介護をするだけでなく、職員がよい介護をできる職場をどう作るかを語れるかが見られやすいと考えられます(推測)。自分の職場の形式は、上司や人事の担当に確かめます。

リーダーに求められる役割

リーダーや主任の役割は、職場によって違いますが、次の4つに整理できます(一般的な整理)。

役割 中身の例
現場をまとめる 日々の業務の割り振り、職員どうしの連絡の調整
職員を育てる 新しく入った人の指導、中堅の職員の相談相手
安全を守る 事故やヒヤリとした出来事の報告の流れをつくる、手順の見直し
つなぐ 上司への報告と相談、看護職や相談員、家族との連絡

面接や小論文では、この4つのどれかに当てはまる自分の経験を、材料として用意します。介護の技術の話だけで終わると、担当者の視点に見えやすいと考えられます(推測)。

職員の定着と育成の材料

介護の職場では、職員の定着と育成が、多くの施設で課題になりやすいと考えられます。リーダーの試験でも、聞かれる前提で準備しておきます。

材料にしやすいのは、次のような経験です。

  • 新しく入った職員に、最初の1か月で覚えてほしいことを一覧にした経験
  • 教える人によって手順が違う、という問題に気づき、そろえた経験
  • 経験の長い職員に、教える役を任せた経験と、そのときの声のかけ方
  • 外国から来た職員や、ほかの業界から移ってきた職員への教え方の工夫

定着の話では、職員が辞める理由を本人の我慢の足りなさにしないことが、リーダーの答えの前提になります。仕事の分け方、相談のしやすさ、教え方の偏りなど、職場の仕組みとして書くと、リーダーの視点が伝わります。

育成について面接で聞かれたとき、指導の経験がまだ浅いと答えに詰まりやすくなります。その場合の答えの組み立ては、昇格面接の「部下をどう育てるか」で、経験の少ない人向けに説明しています。

職員の個人的な事情や名前は、面接でも小論文でも出しません。「入職3か月の職員」のように、立場で書きます。

事故防止の材料

事故の防止は、介護の職場の昇格試験でよく扱われそうな題材だと考えられます。ここで書くのは、体の状態の判断ではなく、職員が報告しやすく、事故が起きにくい職場の仕組みの話です。

材料を集めるときは、自分の職場について、次の点を書き留めます。

  • ヒヤリとした出来事を報告したとき、職員はどんな反応を受けているか
  • 報告が上がった後の見直しは、誰の仕事として決まっているか
  • 見直しで決まったことが、休みだった職員にまで届いているか

打ち手は、職員を責める方向ではなく、仕組みを変える方向で考えます。「注意を徹底する」ではなく、「見直しの結果を、次の勤務の始めに全員が読む一枚にまとめる」のような形です。

利用者の体の状態に関する判断が要ることは、看護職や医師、施設の方針に沿って対応する、と書けば十分です。リーダーとして自分で判断する範囲と、専門職につなぐ範囲を分けて書くと、立場をわきまえていることが伝わります。

面接で問われること

介護職のリーダーの面接では、次のような質問が考えられます。

  • リーダーとして、最初に取り組みたいことは何ですか
  • 新しい職員を、どう育てますか
  • 職員どうしの意見がぶつかったら、どうしますか
  • 急に職員が休んで、人が足りなくなったら、どうしますか
  • 家族から苦情を受けたら、どう対応しますか

介護の面接では、利用者とのやり取りの場面を詳しく話しすぎて、時間が足りなくなることがあります。答えの頭で「リーダーとしてこうします」と言い切り、根拠として職場で実際にあった出来事を一つだけ添えます。締めは、誰に何を頼み、どの仕組みを変えるかで結びます。

「人が足りないときは、自分が入ります」と答えたくなる場面もあります。その日を乗り切るために自分が入ることはあっても、それだけで終わると担当者の答えに聞こえやすいと考えられます。次の月からの勤務の組み方や、応援を頼む先をどう決めておくかを一言添えます。

小論文で気をつけること

小論文では、「利用者に寄りそう」「チームワークを高める」のような言葉が出やすくなります。正しい言葉ですが、それだけでは、どの施設にも当てはまる一般論になりがちです。

言葉を使ったら、すぐ後に職場の事実を書きます。

  • 「チームワーク」→ 早番と遅番の引き継ぎで、何が伝わらずに困っているか
  • 「寄りそう」→ どの時間帯に、職員が利用者と話す時間が取れていないか

小論文を書き終えたら、「チーム」「寄りそう」「支援」のような言葉に印を付け、それぞれの直後に職場の事実が続いているかを確かめます。事実が続いていない箇所の直し方は、論文で「一般論」と言われたときが参考になります。

準備の時間の作り方

介護の職場は、交代の勤務や夜勤があり、まとまった準備の時間を取りにくいものです。準備を小さく分けて進めます。

  • 勤務の後の5分:その日に気づいた職場の困りごとを、メモに1行書く
  • 休みの日の30分:メモを、育成・事故防止・連携の3つに分けて並べる
  • 試験の2週間前から:面接の質問を1日1つ選び、声に出して答える

メモが20行ほどたまれば、面接でも小論文でも、使える材料は十分にそろうと考えられます。

上司に試験の準備を相談できるなら、リーダーに期待していることを聞いておくと、面接の答えの方向が定まります。相談しにくい場合は、施設の理念や事業の計画を読み、そこに書かれていることと自分の材料をつなげておきます。

架空の例:材料の言いかえ

場面:デイサービスで働くHさん(41歳)は、事業所のリーダーの昇格面接を控えています。最初に用意した答えは、次のようなものでした。

職員みんなで協力して、チームワークのよい事業所を目指したいです。

Hさんは、職場の事実に置きかえました。

  • 問題:月1回の職員の会議に、勤務の都合で半分ほどの職員しか出られず、決まったことが出られなかった職員に伝わらない
  • 打ち手:会議で決まったことを3行の一枚にまとめ、出られなかった職員には次の出勤の始めに読んでもらう。読んだ印を付ける欄を作る
  • 自分の役割:一枚の書き方をそろえる案を作り、管理者の了解を取る
  • 効果の測り方:決まったことを知らずに前のやり方を続けていた例の数

「チームワーク」という言葉が、会議の決まりごとを全員に届ける仕組みの話に変わりました。

職員から辞めたいと打ち明けられた場面の聞き方は、辞めたいと言う部下との面談が参考になります。短い小論文の組み立て方は、昇格試験の小論文(800〜1,200字)で説明しています。

一人で練習するときの限界

介護の職場では、小論文を読んでくれそうな上司も、日々の現場で手一杯のことが多いものです。また、自分の書いた「チームワーク」や「寄りそう」が、読み手にとって中身のある言葉になっているかは、書いた本人には判断がつきにくいところです。

昇格パスの論文の演習では、区分(民間・自治体・教員)を選んで練習できます。材料の整理、骨組み、時間を計った本番、観点ごとの採点、書き直しの比較までを一人で進められます。採点では、本文の該当箇所を根拠として示します。

本文を代わりに書くことはしません。論文は無料体験の対象に入っていないため、まずは演習の内容をプランの説明でご確認ください。昇格面接の3問は、登録の後に無料で試せます。

プランの説明を見る 無料体験を見る

関連する記事