昇格試験やアセスメントの面談演習では、部下役との面談の場面が与えられます。場面には、お客様や住民から苦情を受けた部下、成績が落ちている部下、自分より年上の部下などがあります。

当サイトでは、知恵袋の質問76件を読みました(2026年10月)。面談演習を正面から扱う質問は見つからず、面接演習が出てくる質問も1件だけでした。件数は検索語の選び方に左右されますが、情報が少ない形式だと考えられます(推測)。

面談の基本の流れは、部下面談の練習にまとめました。この記事では、3つの場面ごとに、気をつける点を説明します。

※この記事に出てくる会社、人物、会話は、説明のために作った架空のものです。昇格パスの練習の場面の中身(部下の事情や話の展開)には触れていません。

場面が変わっても、見られることは同じ

場面ごとの違いに入る前に、共通する点を確かめます。評価する側が見ているのは、どの場面でも次のような行動だと考えられます(推測)。

  • 部下が話しやすい始め方をしたか
  • 資料に書かれていないことを、聞いて確かめたか
  • 上司として譲れないことを、ぼかさずに伝えたか
  • 次の行動を、部下と一緒に決めたか

場面ごとに違うのは、2つ目と3つ目のぶつかり方です。聞くことと、伝えることの両方が要ります。どちらかに偏ると、評価が下がりやすいと考えられます(推測)。

場面1:苦情を受けた部下

ぶつかりやすい2つの役目

この場面では、「組織として相手に責任を持つ役目」と「部下の側の経緯を聞く役目」がぶつかります。苦情をそのまま部下の落ち度として扱えば、部下は経緯を話さなくなります。部下をかばうだけで終われば、苦情を寄せた相手への対応が残ります。

最初の数分で気をつけること

  • 苦情の中身は、記録にある事実として短く伝える
  • 誰に非があるかを、最初に決めない
  • 謝罪や再発防止の話の前に、部下から見たやりとりの順番を聞く

苦情の記録は、相手の側から見た一方の話です。部下の話と並べて、はじめて何が起きたかが見えてきます。

よくある始め方と直し方

よくある始め方:お客様から苦情が来ています。どういう対応をしたのか、説明してください。

評価する側から見ると、呼び出した理由が苦情だけで、最初から説明を求める形になっています。部下は、身を守る答え方から入りやすくなります。

直した始め方:先週の工事の説明について、苦情の記録を読みました。最初に、あなたから見た経緯を順番に聞かせてください。

相手への対応や、同じことを防ぐ方法を決めるのは、経緯を聞いた後です。この順番を逆にしないようにします。

場面2:成績が落ちている部下

ぶつかりやすい2つの役目

ここでは、「数字の目標を伝える役目」と「本人の事情とやり方を知る役目」がぶつかります。数字だけを詰めると、部下は理由を話さないまま面談が終わりやすくなります。事情を聞くだけで終われば、目標はどうするのか、という問いが残ります。

最初の数分で気をつけること

  • 数字は、資料にある事実として短く確かめる
  • 落ちた理由を、上司の側から決めつけない
  • 下がった数字だけを、面談の中心にしない

成績の面談では、本人も数字が悪いことを知っている場合が多いと考えられます(推測)。知っていることを長く繰り返すと、責められているという受け止め方になりやすいと考えられます(推測)。

よくある始め方と直し方

よくある始め方:今期は目標の半分ですね。このままだと厳しいので、来月からどう挽回しますか。

数字の確かめと、挽回の要求が一度に来ています。どこで差が出ているかを見る前に、答えを求めている形です。

直した始め方:今期の数字を、一緒に分けて見たいと思います。どの段階で目標との差が出ているか、あなたの見方を教えてください。

目標の話をやめるわけではありません。差の出どころを分けた後で、本人に「どうすれば届きそうか」を考えてもらう順番にします。

場面3:年上の部下

ぶつかりやすい2つの役目

この場面では、「相手の経験に敬意を払う役目」と「上司として方針を通す役目」がぶつかります。遠慮しすぎると、決めるべきことを決めずに終わります。立場を前に出しすぎると、相手が納得しないまま話が終わりやすいと考えられます(推測)。

最初の数分で気をつけること

  • 呼び方と言葉づかいは、ふだん職場でしている丁寧さに合わせる
  • 相手の意見を聞く場であることを、最初に伝える
  • 年齢や世代を理由にした言い方をしない

「ベテランの方は新しいことが苦手かもしれませんが」のような言い方は、年齢で人をくくる発言です。面談の目的が伝わる前に、相手の気持ちが離れます。

よくある始め方と直し方

よくある始め方:先輩にこんなことを言うのは気が引けるのですが、会議での発言を少し控えていただけると……。

遠慮から入ると、何を求めているのかがぼやけます。相手から見ると、本気の話かどうかもわかりません。

直した始め方:今日は、会議で決まったことの進め方について、〇〇さんの考えを聞きたくて時間をもらいました。

用件と、相手の考えを聞きたいという姿勢を、最初の1文に両方入れています。方針を伝えるのは、相手の考えを聞いた後です。

架空の例:3つの場面の資料メモ

面談の前に資料を読む時間がある場合は、場面ごとに「確かめる事実」と「聞くこと」を分けてメモします。次は、架空の3場面で作ったメモの例です。

場面(架空) 確かめる事実 面談で聞くこと
県の土木事務所。技師のRさんの工事の説明について、近くの住民から苦情が入った 苦情の日時と中身、その日の工事の予定 住民に何をどの順で説明したか、相手の反応はどうだったか
IT サービスの会社。顧客担当のSさんの、契約の継続率が下がった 継続率の推移と、担当している顧客の数 担当の仕事の進め方で、変わったことはあるか
信用金庫の支店。年上のTさんが、会議で決まったことを後から蒸し返す 会議の記録と、蒸し返しがあった回数 会議の決め方のどこに、引っかかりがあるか

右の列は、どれも「なぜできないのか」ではなく、「何が起きているのか」を聞く形にしています。答えを上司が先に用意しない、という点は3つの場面で同じです。

場面がはっきりしないときの見立て方

本番の資料には、「苦情を受けた部下」のような場面の名前が書かれていないことがあります。そのときは、資料の中の言葉から場面を見立てます。

  • 本人からの申し出や、面談を求めるメールがある:不満や相談を抱えている場面の見込み
  • 外からの苦情や問い合わせの記録がある:対応の経緯を確かめる場面の見込み
  • 数字の推移や目標との差が書かれている:成績や業務の場面の見込み
  • 年齢、勤続年数、前の役職が書かれている:立場や関係の場面の見込み

見立ては、面談の入り方を決めるためのものです。見立てに合わない話が出てきたら、そちらを優先して聞きます。最初の見立てにこだわると、聞くべき話を聞き逃しやすいと考えられます(推測)。

場面に共通する終え方

どの場面でも、最後は次の3つで終えます。

  1. 部下が話したことを短く言い直し、合っているかを確かめる
  2. 部下がすること、上司がすることを1つずつ決める
  3. いつ、もう一度話すかを決める

上司がすることを入れると、一緒に決めた形として伝わります。時間が足りないときも、3つ目だけは言ってから終えます。

一人で練習するときの限界

場面の型を知っていても、部下役の反応は相手がいないと練習できません。自分で相手役を演じると、自分の聞き方に都合のよい答えを作ってしまいます。

昇格パスの無料体験では、部下面談を1場面だけ文字で練習できます。場面は「評価に納得していない部下」です。終わると評価票で、観点ごとの評価と、根拠になった自分の発言を確かめられます。

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