管理職への昇格の前に、アセスメント(案件処理演習、面談演習、グループ討議などを組み合わせた評価)を受ける会社があります。結果が振るわなかったと知らされると、何が悪かったのかわからず、落ち込む人も多いはずです。

この記事では、結果の報告書を受け取ったときの読み方と、次の受験に向けて何をするかを説明します。報告書を受け取れない会社の場合の考え方にも触れます。

※この記事に出てくる人物と例は、説明のために作った架空のものです。報告書の形式は会社や実施する機関によって違います。

結果を受け取った日にすること、しないこと

結果を知らされた直後は、気持ちが揺れやすいものです。その日のうちに大きな決断をする必要はありません。まずは、次のことだけをしておきます。

  • 報告書や通知を、なくさない場所に保存する
  • 覚えているうちに、演習ごとの出来事をメモに書く(どの演習で、何に迷ったか)
  • 結果について誰かと話すなら、責める相手を探す話ではなく、事実を整理する話にする

反対に、結果を受け取った当日に、人事や評価者へ反論のメールを送る、受験そのものをやめると決める、といったことは、少し時間をおいてから考えても遅くありません。数日たってから報告書を読み直すと、最初に読んだときとは違う言葉が目に入ることがあります。

結果の報告書の読み方

アセスメントの結果は、会社によって本人に返される形が違います。観点ごとの点数や段階、評価者のコメント、強みと課題の要約などが書かれた報告書を受け取れる場合もあれば、合否だけが伝えられる場合もあります。

報告書を受け取ったら、次の順に読みます。

  1. 全体の結果より、観点ごとの結果を見る:合否や総合の点だけを見て閉じないようにします
  2. 高かった観点にも印を付ける:強みは、次の受験でも崩さないように残します
  3. 低かった観点のコメントを書き写す:評価者が書いた言葉を、自分のノートに写します
  4. 具体的な行動の記述を探す:「判断の理由が書かれていない案件が多い」のように、行動で書かれた部分が、直す手がかりになります

報告書の言葉が抽象的で、直す行動に結び付かないこともあります。そのときは、次の節の方法で見当を付けます。

低かった観点の見当を付ける

アセスメントの観点は、会社ごとに名前が違っても、中身はいくつかの系統に収まることが多いと考えられます(推測)。低かった観点を、次の系統に当てはめると、直す行動が見えてきます。

系統 よくある名前 演習での行動の例
状況をつかむ 問題把握、分析力 全件を読んでから優先を決めたか、案件の関連に気づいたか
決める 判断力、決断力 期限内に結論を出したか、理由を書いたか
人を動かす 指示、委任、統率 誰に、何を、いつまでに、を示して任せたか
人を育てる 育成、指導 部下に考えさせる問いかけをしたか
相手の立場をくむ 配慮、対人感受性 相手の話を受け止めてから話したか
リスクを外さない 倫理、コンプライアンス 安全や法令に関わる案件を軽く扱わなかったか

報告書を受け取れない場合は、自分の記憶から見当を付けます。演習ごとに、「時間が足りなかった」「何を言えばよいか迷った」「相手の反応に慌てた」など、つまずいた場面を書き出します。つまずきの場面から、どの系統が弱かったかを推し量ります。

報告書によくある言葉と、直す行動

報告書のコメントは、短い言葉で書かれていることが多いものです。よく見る言い方を、次の練習で試す行動に置きかえておきます。

  • 「視野が狭い」:書き始める前に全件を読み、関係しそうな案件どうしに印を付ける
  • 「決めきれていない」:1件ごとに「〜する」と言い切る一文を、理由と一緒に書く
  • 「抱え込んでいる」:自分で処理する案件の数に上限を決め、それ以外は任せる相手を書く
  • 「一方的」:面談では、最初の数分は質問と相づちだけにする
  • 「先が見えない」:目の前の手当てに加えて、同じことを防ぐ手を一つ書く

置きかえた行動は、1つの練習で1つか2つだけ意識します。全部を同時に試すと、どれが効いたのかが分からなくなります。

落ちた理由を推し量る方法は、昇格試験に落ちた理由を、自分で推し量る方法でも詳しく説明しています。

日々の仕事で練習する

アセスメントで見られる行動の多くは、日々の仕事の中でも練習できます。次の受験まで時間があるときは、演習の練習と並べて、仕事の中で行動を変えていきます。

弱かった系統 日々の仕事での練習
状況をつかむ 朝、メールを全部読んでから、どれから手を付けるかを決める
決める 上司に相談するとき、自分の案と理由を先に言う
人を動かす 後輩に頼むとき、期限と報告の時期を毎回付ける
人を育てる 後輩に答えを言う前に、「どう思う」と一度聞く
相手の立場をくむ 相談を受けたら、最初の1分は聞くだけにする

日々の練習は、それだけで点が上がるものではありません。ただ、演習で自然に行動が出るようになるには、普段から同じ行動をしていることが助けになると考えられます(推測)。

次の受験までの計画

次の受験までの期間に合わせて、計画を立てます。

期間 やること
結果を受け取ってから1か月 報告書を読み、弱い系統を1〜2つに絞る。日々の練習を始める
次の受験の半年前まで 弱い系統に関わる演習を、時間を計って練習する。月に2〜3回
次の受験の3か月前から すべての演習を通しで練習する。強みが崩れていないかも確かめる
直前の1か月 当日の流れを確かめ、演習ごとの注意点を紙1枚にまとめる

弱い系統を全部いっぺんに直そうとすると、どれも中途半端になります。1〜2つに絞ります。

不合格の後の1年の使い方は、不合格の後、次の試験までの1年の使い方で、アセスメントの演習ごとの準備は管理職アセスメントの対策で説明しています。

上司との話し方

結果について、上司と話す機会があれば使います。上司は、報告書のほかに、人事から説明を受けていることもあります。

話すときは、結果への不満ではなく、次に何を直すかの相談として持ちかけます。

  • 弱い言い方:「なぜ落ちたのか納得できません」
  • 伝わる言い方:「報告書では、判断の理由が弱いと書かれていました。日々の仕事で、どんな場面を意識すればよいか、ご意見をいただけますか」

上司に、日々の仕事で練習の場を作ってもらえることもあります。会議の進行を任せてもらう、後輩の指導役を任せてもらう、といった形です。

上司との関係や職場の事情で、結果の相談を持ちかけにくいこともあります。そうした人が練習の相手や場をどう確保するかは、上司に練習を頼みにくいときの、昇格試験の準備の仕方で取り上げました。

架空の例:報告書から計画へ

電機メーカーで課長のアセスメントを受けたLさんは、報告書で次のような結果を受け取りました。

観点 結果 評価者のコメント(要約)
問題把握 標準 主な問題には気づいている
判断 低い 結論はあるが、理由が書かれていない案件が多い
委任 低い 自分で処理する案件が多く、部下への指示が少ない
配慮 高い 面談で相手の話をよく聞いている

Lさんは、判断と委任の2つに絞りました。案件処理演習の練習では、どの案件にも「なぜなら」を1文付け、自分で処理する案件を3件までに限る、という決まりを作りました。日々の仕事では、後輩に仕事を頼むときに、期限と報告の時期を付けるようにしました。配慮は強みなので、面談演習の練習は月に1回にとどめました。

3か月たったころ、Lさんは練習の答案を見返し、理由の一文が付いた案件の数と、自分で処理した案件の数を数えました。理由の付いた案件は増えていましたが、急ぐ案件ほど理由が抜けていることに気づきました。そこで次の1か月は、急ぐ案件の理由だけに絞って練習しました。直したい行動を数で確かめると、次に何を絞るかが決めやすくなります。

強みを崩さないために

弱い観点を直すことに集中すると、もともと高かった観点が下がることがあります。たとえば、委任を意識しすぎて、相手への配慮の一言が抜ける、といった形です。

これを防ぐには、練習の答案を見直すとき、弱い観点の点検に加えて、強みの観点にも一つだけ印を付けます。強みが崩れていなければ、そのまま次へ進みます。崩れていたら、弱い観点の練習を少し緩めて、両方がそろう書き方を探します。

一人で確かめるときの限界

報告書を読み、弱い系統を絞ることは一人でもできます。ただ、練習で書いた答えや面談での話し方が、評価する側にどう見えるかは、自分では判断しにくいものです。弱かった観点が練習で変わってきているかを確かめるには、観点ごとの外からの見え方を知る手がかりが要ります。

昇格パスの無料体験では、登録の後に、部下面談1場面、昇格面接3問、案件処理演習1案件を、文字でそれぞれ1回練習できます(論文は対象外です)。終わると評価票で、観点ごとの評価と、根拠になった自分の発言や記述を確かめられます。

個人で申し込んで使え、実名や勤務先の登録は要りません。会社に知らせることもありません(ログインにはメールアドレスか LINE を使います)。報告書の観点と見比べながら、次の一手を決める材料にしてください。

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