「具体性が足りない」と言われると、数字や固有名詞を増やしたくなることがあります。しかし、必要なのは詳しい情報の量とは限りません。聞き手が、自分の行動と判断をたどれるかを点検します。
以下は編集部の点検方法です。特定の評価機関の基準ではありません。回答と職場の例はすべて架空です。
具体的でも、質問に答えていないことがある
業務の工程を細かく説明しても、「あなたがどう判断したか」と聞かれているなら、説明が足りない場合があります。最初に、質問が求めた対象に線を引きます。
実績なのか、自分の役割なのか、判断の理由なのか。追加する情報は、その対象を明らかにするものを選びます。詳しくするほどよい、とは考えないようにします。
五つの抜けを探す
| 点検する部分 | 抜けたときの言い方 | 自分への問い |
|---|---|---|
| 場面 | 問題がありました | どんな出来事が起きたか |
| 役割 | チームで取り組みました | 自分は何を担当したか |
| 行動 | 連携を強化しました | 誰に何をしたか |
| 理由 | 工夫しました | なぜその方法を選んだか |
| 結果 | 改善しました | 何を見て変化を確かめたか |
全部の回答へ五つを同じ量で入れる必要はありません。聞かれた部分に応じて、足りない箇所を探す表です。事実を確認できない欄は、架空の成果で埋めないようにします。
架空の例:「情報共有を徹底した」
営業の担当者は、引継ぎを改善した経験を「情報共有を徹底しました」と説明しました。この文では、資料を増やしたのか、話す機会を作ったのかが分かりません。
出来事を振り返ると、受注後の確認先が曖昧だったため、担当者と相談して、依頼時に確認する項目をそろえていました。まず、この行動を回答に入れます。
さらに理由を聞かれたら、確認が戻っていた場面を説明します。結果が未集計なら、効果の数字は作りません。「取り組みの後、どんな場面を確認したか」を、分かる範囲で述べます。
この例では、顧客名や商品の詳細を増やさなくても、自分の行動が見えるようになります。社外練習に、実在の案件が特定できる情報を持ち出す必要はありません。
数字の役割を確かめる
数字を入れるなら、何を示すためかを考えます。担当の範囲、前後の変化、期限など、判断に関係する情報なら使えます。一方、会議の回数を多く並べても、何を決めたかが不明なら、行動の説明にはなりません。
覚えていない数字を、その場でもっともらしく作らないことも大切です。確認できた値と、確認が必要な値を分けます。おおよその値を使う場合も、根拠がある範囲にとどめ、不確かさを隠さないようにします。
抽象語を消すだけでは足りない
「主体性」「連携」「改善」などの言葉を全部消す必要はありません。まとめとして使い、その後に出来事が続くなら役に立ちます。
点検したいのは、抽象語で説明が終わっていないかです。「主体性を発揮した」の後に、自分が何を選び、誰へ提案し、何を確認したかがあるかを見ます。
逆に、行動を細かく並べるだけで結論が消える場合もあります。質問への答えを先に置き、必要な一場面で支える形を試します。詳しい背景は、追加の質問に応じて説明できるようにします。
聞き手が知らない前提を一つ足す
自分には当たり前の略語や手順が、聞き手には分からない場合があります。誰の仕事が、どこで止まっていたかを短く説明すると、行動の意味を追いやすくなります。
ただし、会社の仕組みを最初から全部説明する必要はありません。選んだ行動を理解するのに必要な前提だけを足します。前提と本題のどちらに時間を使っているか、回答を読み返して確かめます。
詳しさを加える前に、主語を確認する
具体的な部署名や工程が出ていても、誰が行動したか分からなければ、自分の経験は伝わりません。各文の主語を、自分、チーム、上司、関係者に分けて読んでみます。
自分の行動がなければ、担当した工程を探します。逆に、すべて自分を主語にしている場合は、他の人の判断や協力まで取り込んでいないかを確認します。具体性は、役割の正確さと一緒に点検します。
理由が一般論になっている場合
「効率化が必要だったから」だけでは、その場面で選んだ方法の理由がまだ見えないことがあります。何が滞っていて、どの条件を優先したかへ戻ります。
ほかの案があったなら、なぜ見送ったかを短く書けます。実際には比較していなかったなら、当時の判断と、現在の振り返りを分けます。後付けで立派な比較を作らないことが大切です。
書き足した情報を削る判断
点検のために詳しく書き出した材料を、回答へ全部入れる必要はありません。質問の対象を明らかにする情報を選び、残りは追加質問への材料として持ちます。
試しに、一文を隠しても自分の判断が分かるかを確認します。分かるなら、その文は最初の回答には不要かもしれません。逆に、その文を隠すと行動の意味が分からないなら、前提として残す候補です。
最後に、初めて聞く人が「何をしたのか」を一文で言い直せるかを考えます。自分が何を説明したかったかではなく、回答に実際に何が出ているかを見るための問いです。
具体例を選び直す判断
一つの経験について、何度考えても自分の行動が出てこない場合は、別の経験を選ぶこともできます。成果が大きい話へ固執せず、自分が説明できる範囲を重視します。
小さな調整でも、何を見て、誰に聞き、何を決めたかを説明できれば、質問の対象に合う材料になる場合があります。実績の大きさと、説明の具体性を同じにしないようにします。
選び直した後も、実際に確認した結果と自分の推測を分けます。具体的な数字や場面があるだけで、話が正確になるわけではありません。質問に合い、自分の役割と根拠を示せるかを最後に点検します。完成文より先に、事実の材料を整えます。
今日の書き直し
自分の回答から「連携した」「工夫した」などのまとめの言葉を一つ選びます。その下に、実際にした行動を一文書いてください。続いて、その行動を選んだ理由を一文書きます。
書いた二文が元の質問に必要かを最後に確認します。必要でないなら、別の部分を直します。具体性を上げるとは、情報を増やすことだけでなく、聞かれたことを確かめられる材料にすることです。
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