自分で考えて進めてほしかったのに、部下は指示を待っていた。反対に、相談してほしかった判断を、本人だけで進めていた。期待とのずれを感じたら、まず何を事前に伝えていたかを確認します。

ここで扱うのは、評価の点数への不満ではなく、仕事を任せる際の役割の認識です。以下は当サイトの面談準備の提案です。職場や人物は、説明のために作った架空の例です。

伝えたことと、察してほしかったことを分ける

「主任なのだから分かるはず」と思っていても、役職の呼び名だけで判断範囲はそろいません。上司が期待した行動と、実際に説明した内容を並べます。説明した記録がなければ、伝わっていたと断定しないようにします。

本人の側にも、過去の仕事で身に付いた進め方があります。以前は毎回確認を求められていたなら、今回も確認を待つかもしれません。今回の役割が何から変わったのかを、明示する必要があります。

分ける欄 書く内容
事前に伝えた条件 依頼時の言葉、資料、期限
上司が期待していた行動 自分で決めること、相談すること
本人が理解した役割 実際にどう進めるつもりだったか
途中で変わった条件 新しい依頼、方針変更、追加された責任

この表は、どちらが悪いかを判定するためのものではありません。どこで認識が離れたかを見つけ、次の依頼を具体化するために使います。

結果の指摘から、判断の経過へ戻る

期待と違った結果だけを指摘すると、本人には後から条件を増やされたように見えることがあります。まず、本人が何を目指し、どの段階で何を判断したかを聞きます。

上司の意図と違う判断があっても、その時点で本人が持っていた情報を確認します。後から分かった事情を使って、当時も分かるはずだったと扱わないようにします。必要な情報を渡していなかった可能性もあります。

規程に反する行動など、明確に伝える必要がある点は伝えます。そのうえで、指示の不足と本人の判断を分けて振り返ります。説明不足があったから何も指摘できない、という二択にしない方法です。

架空の例:改善案を任せたつもりの上司

上司が部下に「来月の窓口対応を考えておいて」と頼んだとします。上司は担当の配置まで提案してほしいと思っていました。部下は混雑状況を調べる依頼だと理解し、資料だけを用意しました。

上司が「主体性が足りない」と言う前に、依頼の完了条件を確かめる必要があります。調査なのか、案の作成なのか、関係者との調整までなのかが、言葉の上で分かれていなかったためです。

面談では、本人がどこまで任されたと考えていたかを聞きます。調べた資料を生かし、次は配置案を作るのか、別の担当と検討するのかを決めます。すでにした仕事をなかったことにせず、残る役割を具体化します。

また、配置を本人が決定できるわけではないなら、その境界を示します。提案してよいことと、上司の承認が要ることを分けます。自分で考えることと、自分で決裁することは同じではありません。

役割を、四つの動詞で確かめる

役割名を細かく増やすより、何をするかの動詞で説明してみます。調べる、案を作る、相談する、決めるなど、仕事の段階が見える言葉を選びます。

段階 上司と本人でそろえる問い
情報を集める 何が分かれば次へ進めるか
案を作る どの条件を満たす案が必要か
関係者と調整する 誰の意見を聞き、どこまで約束できるか
判断する 本人が決める範囲と、上司へ戻す範囲は何か

全部を本人が担う必要はありません。同じ仕事でも、経験や権限に合わせて分けます。任せる範囲を変えたら、その変更を言葉で伝えます。

期待を後から増やしたときは、変更として扱う

途中で状況が変わり、任せたい仕事が増えることもあります。その場合は、最初から期待していたと言うのではなく、追加する依頼として説明します。期限や他の仕事への影響も確認します。

追加の役割だけを伝え、以前の依頼を残したままにすると、本人の負担が増えます。何を続け、何を後にするかを決めます。新しい仕事が重要だからといって、時間が自然に増えるわけではありません。

期待を下げる場合も、理由を伝えます。担当を外すだけでは、何が変わったのか分かりません。組織の事情、支援の必要性、本人の担当範囲を分けて話します。

前任者との違いを、本人の問題にしない

上司が替わると、同じ仕事でも求める報告や判断の範囲が変わることがあります。その違いを伝えず、以前のやり方を続けた本人を消極的だと評価しないようにします。まず、今まで何を任されていたかを聞きます。

変えたい点があるなら、理由と新しい条件を説明します。前任者のやり方を批判するより、現在の仕事で必要な動きをそろえます。本人が持っている知識のうち、続けて使えることも確認します。

役割の変更が大きい場合は、一度の説明で全部を合わせようとしません。最初の仕事の区切りで、迷った判断を振り返る予定を置きます。説明を繰り返すだけでなく、実際の場面でどこが曖昧だったかを見ます。

この確認を、本人の理解力の試験にしないことも大切です。上司が伝えた条件そのものが矛盾していたり、同時には満たせなかったりする可能性もあるためです。

次回は、意欲ではなく具体的な動きを振り返る

面談後に「積極的になったか」だけを見ても、判断は人によって変わります。何を任せ、どの行動を確かめるかを、今回の約束に沿って見ます。

提案を任せたなら、必要な条件が案に含まれているかを確認します。相談する役割なら、迷った時点で判断を戻せたかを見ます。本人の性格全体を評価する話に広げないようにします。

うまく進まなかった場合は、期待の説明をもう一度見直します。伝えた条件が多すぎた、必要な資料がなかった、承認者が曖昧だったなど、仕事の進め方として直せることを探します。

今日の小作業として、最近任せた仕事を一つ選びます。依頼した言葉と、期待した完了状態を別々に書きます。その二つの間に説明が足りないところがあれば、次に本人と確認する問いにします。

評価への不満が中心の場合は評価に納得していない部下との面談、基本の順序は部下面談のコツも参照できます。