昇格面接の終わりに、「最後に、何か質問はありますか」と聞かれることがあります。就職や転職の面接では「逆質問」としてよく知られていますが、昇格面接では、相手が自分の会社の役員や上司です。何を聞けばよいか、迷う人も多いはずです。

この記事では、昇格面接で逆質問がある理由と、聞いてよいこと、避けたいことを整理します。逆質問が合否を大きく左右することは少ないと考えられます(推測)。それでも、最後の数十秒を落ち着いて使えるよう、準備しておくと安心です。

※この記事に出てくる人物と質問の例は、説明のために作った架空のものです。

昇格面接で逆質問がある理由

昇格面接の逆質問には、次のような意味があると考えられます(推測)。

  • 面接の締めくくりとして、受験者に話す機会を渡す
  • 受験者が、役職に就いた後のことを具体的に考えているかを見る
  • 受験者の関心が、自分の処遇にあるのか、仕事にあるのかを見る

社外の面接と違い、会社の情報を知るための質問は、あまり意味を持ちません。受験者はすでに社内の人だからです。昇格面接の逆質問は、「その役職で何をするつもりか」を、質問の形で示す場と考えると組み立てやすくなります。

評価につながる質問の考え方

評価につながりやすいのは、役職に就いた後の仕事を、具体的に考えていることが伝わる質問です。

質問の方向 例
期待される役割を確かめる 「新しい役職で、まず力を入れてほしいと期待されていることは何でしょうか」
方針とのつながりを確かめる 「来年度の部門の重点のうち、係長に任されることが多いのはどの部分でしょうか」
学ぶ姿勢を示す 「管理職になった方が、最初の1年でつまずきやすいのはどんなところでしょうか」
面接での話を深める 「先ほどお話しした育成の取り組みについて、ほかの部署で参考になる例はありますか」

どの質問も、答えを聞いた後に「ありがとうございます。〇〇から取り組みます」と一言で返せるものにしておきます。聞きっぱなしにせず、自分の行動につなげて終えると、前向きな印象になります。

避けたい質問

次のような質問は、避けたほうが無難です。

避けたい質問 評価する側の見え方
「昇格すると給料はいくら上がりますか」 関心が処遇に向いている印象を残す。規程や人事部門で確かめられる
「残業はどのくらい増えますか」 働き方の心配は大切だが、面接の場では役割への不安に聞こえやすい
「合否はいつ分かりますか」 案内に書かれていることが多い。確かめていない印象になる
「今日の面接はどうでしたか」 評価を聞き出そうとしているように見える
会社の方針への批判を含む質問 他責や評論家の印象になる

給与や働き方は、受けるかどうかを決めるうえで大事なことです。ただ、それは面接の場ではなく、規程や人事部門、制度の説明資料で確かめます。

「特にありません」でよい場合

逆質問は、無理に作らなくてもかまいません。次のような場合は、「特にありません」と答えてよいと考えられます(推測)。

  • 面接の中で、聞きたいことがすでに話題に出た
  • 面接官が時間を気にしている様子がある
  • 用意していた質問が、面接の流れに合わなくなった

その場合も、「特にありません」だけで終えるより、一言添えます。

面接の中で、期待されている役割を伺うことができましたので、特にございません。本日はありがとうございました。

何も考えていなかったのではなく、面接の中で答えを得た、という形で締めると、印象が落ち着きます。

候補の作り方

逆質問の候補は、2〜3個用意しておきます。作り方は次のとおりです。

  1. 自分の抱負を確かめる:面接で話す「最初の1年でやること」は何か
  2. それを進めるうえで、知りたいことを書き出す:期待される役割、他部署との関係、使える仕組み
  3. 会社の資料や説明で分かることは外す:調べれば分かることは質問にしない
  4. 1文で言える長さにする:前置きを長くしない

候補が面接の流れで使えなくなったときのために、「特にありません」の一言も用意しておきます。

役職ごとの逆質問の向き

同じ「役割を確かめる」質問でも、受ける役職によって、聞く範囲を変えると自然です。

  • 主任:チームの中での役割を聞く。「新人の受け入れで、主任に任されることが多いのはどんな部分でしょうか」
  • 係長:係をまとめる立場の役割を聞く。「係の仕事の割り振りを見直すとき、課長と相談して決める範囲はどこまででしょうか」
  • 課長:部門の方針とのつながりを聞く。「来年度の重点のうち、課長の判断に任される範囲はどこまででしょうか」

どの役職でも、聞いた答えを自分の抱負につなげて返せるかが要点です。質問だけが浮いて、面接で話した中身とつながらないと、準備した文を読んだだけに見えやすくなります。

候補を作るときのつまずき

  • 調べれば分かることを聞く:社内の資料や規程に書いてあることを聞くと、確かめていない印象になります。
  • 前置きが長い:質問の背景を長く話すと、面接官が答える時間がなくなります。前置きは1文までにします。
  • 一度に二つ聞く:「役割と、評価の仕方を教えてください」のように重ねると、答えにくくなります。1回に1つにします。
  • 自分の不安をそのまま聞く:「私に務まるでしょうか」は、面接官が答えにくい質問です。不安があるなら、「最初の1年でつまずきやすいところ」と、学ぶ姿勢の形に置きかえます。

架空の例:保険会社の事務部門

保険会社の事務部門で主任をしているNさん(35歳)は、係長の面接の準備で、逆質問を次のように用意していました。

係長になると、在宅勤務はどのくらいできますか。

働き方は大切な関心事ですが、面接の場では、役割より自分の都合を優先しているように聞こえるかもしれません。Nさんは、働き方の確認は人事部門に問い合わせることにし、逆質問を次のように変えました。

来年度は事務の手順の見直しが重点と伺っています。係長として、どの範囲まで任されることが多いでしょうか。

抱負で話す「手順の見直し」とつながり、役割を具体的に考えていることが伝わる質問になりました。

面接官から「係長には、手順の見直しの計画づくりまで任せたい」と答えが返ってきたら、Nさんは「ありがとうございます。最初の3か月で、見直す手順の一覧を作ります」と返すつもりです。答えを受けて、自分の行動を一文で言う。ここまで用意しておくと、逆質問が面接の締めとして働きます。

答えを聞いた後の返し方

逆質問は、聞いて終わりではありません。面接官の答えを聞いた後の一言で、質問の意味が決まります。

  • 自分の行動につなげる:「ありがとうございます。まずは〇〇から取り組みます」
  • 短く終える:答えに対して、さらに質問を重ねない。面接の時間を考える
  • 答えにくそうなら引き取る:「難しいご質問でしたら、着任後に改めて伺います」

面接官が答えに困るような質問は、場の空気を硬くすることがあります。答えやすい、役割についての質問を中心にします。

当日に候補を選ぶとき

用意した2〜3個の候補から、面接の流れを見て1つを選びます。選ぶ目安は次のとおりです。

  • 面接の中で、すでに答えが出た話題の質問は外す
  • 自分が一番長く話した答え(抱負や育成など)につながる質問を残す
  • 迷ったら、役割を確かめる質問を選ぶ

選んだ質問は、面接官に向けて一度だけ、短く言います。

逆質問と「最後に一言」の違い

面接の終わりには、逆質問ではなく「最後に何か言っておきたいことは」と聞かれることもあります。こちらは質問ではなく、自分の言葉で締めくくる場です。両方に備えるなら、逆質問の候補2つと、締めの一言1つを用意しておきます。

締めの一言の作り方は、昇格面接の「最後に一言」で説明しました。

一人で確かめるときの限界

逆質問の候補は、一人で書き出せます。ただ、よい逆質問は、面接の中で話した抱負とつながっているものです。抱負の答えが深掘りでどう変わるかを確かめないまま候補を作ると、当日の流れに合わなくなることがあります。

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