上司に推薦されても、自分のどこが評価されたのか分からないと、面接で何を話せばよいか迷います。推薦の理由を尋ねるときは、安心させてもらうことと、役割の期待を知ることを分けます。
この記事は編集部が提案する会話の準備です。推薦が合格を意味するとは扱いません。ここに出てくる発言と職場の例は、すべて架空です。
「大丈夫ですか」から一歩進める
「私でも大丈夫でしょうか」と聞くと、「大丈夫だから推薦した」と返ってくるかもしれません。その言葉は励みになりますが、準備に使える材料はまだ残りません。
知りたいのは、自分の過去のどの行動を見て、次のどの役割につなげているかです。「推薦の際に、私のどの仕事を材料として見ていただいたのでしょうか」と、具体的な出来事を尋ねます。
その後に、「次の立場では、今と何を変えてほしいとお考えですか」と続けます。これまでの評価と、これからの期待を別々に聞くと、得意な仕事をそのまま続ければよいとは限らないことも分かります。
面談前に用意するメモ
| 欄 | 自分で書く材料 | 上司に確かめること |
|---|---|---|
| 思い当たる仕事 | 調整、育成、改善の経験 | 推薦の理由と関係していますか |
| 自分が担った部分 | 自分で決めたこと、相談したこと | 他に見ていた行動はありますか |
| 次に増える役割 | 今は担当していない判断 | まずどの役割を期待されていますか |
| 準備したい点 | 経験が足りない場面 | 今の仕事で試せる機会はありますか |
推薦書や選考上の秘密を見せてもらうための質問ではありません。話せる範囲の期待を尋ねます。上司が評価者を兼ねる場合も、問題の内容や採点の裏側を聞き出さず、日常の仕事での成長に焦点を置きます。
架空の例:窓口の調整をした主任
行政の窓口で働く主任は、忙しい日に自分が多く応対したことを推薦理由だと思っていました。ところが上司が話したのは、応援の担当者に手順を説明し、迷う問い合わせの相談先をそろえた場面でした。
主任は、最初は「仕事が速いところを評価された」とメモしていました。会話の後は「応援の人が仕事を始められるよう、情報をそろえた」に書き換えます。自分の働きぶりのうち、どの行動を面接で説明するかが変わりました。
上司は同時に、今後は忙しい日だけでなく、平時の準備も任せたいと伝えました。主任は「今後は準備もできる」と実績に加えず、「次の役割への期待」として別欄に置きます。まだしていないことを、経験した話に混ぜないためです。
ほめ言葉が抽象的だったとき
「周囲をよく見ている」「安心して任せられる」と言われたら、その評価を否定する必要はありません。一度受け止めてから、出来事を尋ねます。
「ありがとうございます。自分でもその行動を続けたいので、そう感じた場面を教えていただけますか」と聞けば、次の準備に使う目的も伝わります。
具体例が出ないこともあります。その場合、無理にその場で答えをもらわず、自分が思い当たる場面を一つ出して、近いかどうかを確認します。候補を次々と並べ、ほめてもらえる話を探す面談にはしません。
指摘も一緒に残す
推薦理由を聞く会話では、足りない部分に触れられることもあります。「説明は丁寧だが、結論を遅らせる」と言われたなら、推薦と矛盾すると決めつけず、役割を広げるための課題として記録します。
ただし、抽象的な指摘を自分全体の欠点に広げる必要はありません。「どのような場面で、何を先に伝えるとよいですか」と聞き、次に試す行動まで小さくします。
会話の後は、上司の言葉、自分の解釈、練習で試すことを三列に分けます。自分の解釈を上司の発言のように書かないことが、後の振り返りに役立ちます。
上司と自分の見方が違ったとき
自分では大きな実績だと思う仕事に触れられず、目立たない調整を推薦理由として挙げられることもあります。自分の実績が否定されたと決めず、どの行動を次の役割につなげて見ていたかを聞きます。
反対に、上司が挙げた仕事について、自分の担当が小さいと感じる場合は、その範囲を説明します。「資料は同僚が作り、私は確認項目の整理を担当しました」と区切れば、実績を盛らずに期待を確認できます。相手のほめ言葉に合わせて、役割を広げて話す必要はありません。
会話の内容は、面接で上司の言葉を引用するためだけのものではありません。自分が何をしていたかを見直す材料です。聞いた後、自分の記憶や確認できる記録と照らし、説明できる部分を残します。
相談の時間が短い場合
長い面談が取れないなら、質問を二つに絞れます。推薦の理由になった一場面と、次の役割で変えてほしい一つの行動です。試験の準備全体を見てもらうより、答えの対象が狭くなります。
事前に質問を伝える場合も、評価者の秘密を尋ねる文になっていないか確認します。合否の見込みや他の候補者との比較ではなく、自分の日々の行動と期待に限定します。
返答を聞いたら、その場で全て理解したふりをせず、重要な一つを言い直して確認します。「次は個別の対応だけでなく、担当者が迷わない準備を期待されている、ということですね」といった確認です。合っていれば、次の練習や仕事の相談へつなげます。
聞いた期待を、自分の課題に変える
推薦理由を聞けたら、その言葉のまま暗記せず、自分が説明できる出来事を一つ選びます。「周囲を見ている」と言われたなら、誰の何に気づき、どんな行動を変えたのかまで戻します。
期待がまだ経験のない役割だった場合は、過去の実績に足さず、今後学びたいこととして残します。面接で説明する際も、この二つを区切ります。
自分でうまく説明できない部分があれば、次の確認事項です。ほめられた言葉を強調するより、その根拠を自分の行動として話せるかを確かめます。
面接に使うときの注意
「上司に評価されたので向いています」だけでは、自分の考えが見えません。推薦理由を手がかりに、実際にした行動と、そのときの判断を説明します。上司の評価は結論の代わりにはなりません。
今すぐできる作業は、聞きたい質問を一つだけ書くことです。「推薦の決め手」よりも、「どの仕事の、どの行動か」まで絞ってください。次に、答えを聞ける日時を相談します。材料を整えた後で、自分の行動を初めて聞く人にも伝わるか確かめます。
関連する読み物:昇格試験に自信がないとき:不安を準備の項目に変える、昇格面接のコツ。